回送電車の女 第三部
七十七
睦夫が目を覚ましたのが、股間の猛烈なひりひりする感触によってだった。目を覚まして初めて自分が両手を手錠で吊り革から吊られており、下半身には何も身に着けていないことを知ったのだった。
「な、何だ。これは・・・。いったい、どうして・・・。」
まわりを見回すが早朝の電車基地のようで、誰の姿もないのだった。股間の性器はむず痒いような、ひりひりする痛みで何とかしたいのだが、両手が繋がれていて自分ではどうすることも出来ない。
やがて電車が動き出す。それは運転席に良子が同行した新藤の運転するものだとは思いもしない睦夫なのだった。
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