おまんこ晒し

回送電車の女 第三部




 六十二

 「ちょっとそこに座ってまだ本当にノーパンかどうか見せてくれたらな。」
 スタジオはその日の収録が終わった者ばかりでどんどんひと気は無くなっていく。未央は自分たちの方を見ているものは誰もいないことを確認してからさっと手近な回転椅子に腰掛けるとスカートの前をすこしだけ捲る。すぐに毛のないつるんとした陰唇が露わになる。
 「ふふふ。いい眺めだ。やっぱりノーパンのほうがセクシーだから返すのは止めにしよう。さっきディレクターもそう言ってたじゃないか。」
 「そんな・・・。冗談はやめてっ。生足がって言ったのよ。もう返してっ。」
 「いや、今日の収録はもう終わりだろ。これから一緒にお前のアパートへ行くんだ。だから必要ないさ。」
 「わ、私のアパートへ来るですって? い、嫌よ。そんなの・・・。」
 「嫌って言える立場だったかな。あまり俺を怒らせないほうが身の為だぜ。」
 「うっ・・・。」
 「廊下で待ってるからな。さっさと私服に着替えてこいよ。」
 平然と言ってのける睦夫を恨めしく思いながら、睨み返すだけで言い返すことは出来ないのだった。未央は更衣室に私服に着替えに行くが、まだ着替えている他の番組のアナウンサが居たので暫く待たねばならなかった。女性のアナウンサだといっても下着を着けていないところを見られる訳にはゆかなかったのだ。ロッカーに替えのストッキングは持っていたがショーツまではさすがに無い。素股にストッキングは着けたくなかったので生足のままで我慢することにした。
 「さてと。一緒に帰ろうか、妹よ。」
 睦夫と一緒のところを知り合いに出来るだけ見られたくなくて、未央は自然と速足になる。受付ロビーでゲスト用のパスを返すと睦夫の元に戻らざるを得なかった。腕でも組んできかねないので、ショルダーバッグを抱え持って腕に隙をみせないようにする。
 「今日はタクシーで帰ろうか。」
 ノーパンのまま電車に乗るのは不安だったので一瞬助かったと思った。しかしそれは考えが甘かったことに後で気づかされるのだった。
 局前のロータリーでタクシーを呼ぼうと手を挙げようとするのを睦夫に止められる。
 「ちょっとその前にこっちに来い。」
 睦夫が未央を引っ張ってきたのはビルとビルの隙間の狭い路地だった。街灯の明かりからは陰になって薄暗い場所だ。
 「ショルダーバッグをちょっとこっちへ寄越せ。そしてあっちの明るい方を見てるんだ。」
 無理やり未央からショルダーバッグを奪い取ると、未央を通りの方へ向かせ自分は背中側に廻る。
 「ストッキングを返してやるよ。但し、ここにだがな。」
 そう言って両手がフリーになって未央の手首を取る。
 (え、まさか・・・。)
 未央が予感したとおり、睦夫は後ろに回させた未央の手首にポケットから取り出したストッキングを巻いていく。手首に二重に巻いた後、ストッキング同士を潜らせて縛るともう片方の手首も掴まれた。きつく縛ってある訳ではないのに、ストッキングは伸縮性があって自分では解けなくなってしまう。
 「さ、後ろ手にバッグを持ってれば縛られてるのは隠せるだろ?」
 未央はスカートの中には何も着けてない上に、両手の自由まで奪われてしまう。
 「タクシーは俺が呼んでやるから心配するな。」
 そう言って後ろ手に固定された未央の肩を押し出すように通りに出ると睦夫は手を挙げてたタクシーを止める。
 「お前が奥の方へ行くんだ。」
 自動で開かれた後部座席のドアの中に未央は押し込まれる。その時背中にショルダーバッグを抱えたままではスカートの裾が隠せないことに気づく。未央は私服もタイトなミニスカートで来ていた。後部座席の奥へ行くには後部席の床の膨らんだところを跨いでゆかねばならない。それを前を隠せないミニスカートで跨いでいくのは至難の業だった。
 恨めしそうに睦夫の方を振り返って睨むが、睦夫は顎で早く乗れと急かしていた。
 運転手が見ていないのを確認しながら細心の注意を払って膝頭が開かないように慎重に床の膨らみを片足ずつ跨いでいく。しかし運転手はその様子をバックミラーでじっと見つめていたのだった。

未央

  次へ   先頭へ



ページのトップへ戻る