回送電車の女 第三部
七十三
「折角だからな。今度はこっちだ。」
「あ、嫌っ。駄目っ。そこは違うわ。」
濡れそぼった二本の指を陰唇ではなく、菊の座に差し込まれて良子は慌てる。しかし睦夫が最初からそれが狙いだったようだ。
「お前の唾で少しは緩くなっただろう。さ、太いソーセージをご馳走してやる。」
「や、やめてっ。ああっ。ひぃーっ。」
尻の穴にペニスを無理やり差し入れられて、良子は悲鳴をあげてしまう。
「尻の穴なら妊娠する心配はないだろう。遠慮なく中出しさせてもらうぜ。」
さんざん菊の座で突き回されてもう良子には抗う元気もなくなっていた。身体の中に熱いものがじゅっと注ぎ込まれたのを感じると、良子はやっと解放されるという安堵だけを感じ取っていた。
「もうこれで充分でしょ。手錠を外して頂戴。」
良子が恨めしそうに身繕いをしている睦夫の方に顔を上げて頼み込む。しかし睦夫は薄ら笑いを浮かべているままだった。
「もう少し、お前には罰を味わって貰うつもりなのさ。」
「な、何をしようと言うの?」
「俺じゃない誰かに助けて貰うのさ。そのうち、誰か通り掛かるだろう。そしたらお願いするといい。」
そう言うとポケットから手錠の鍵を取り出し懐中電灯を再び灯して良子に見せるのだった。
「これをあそこに挿し込んでおいてやるから、誰かが通り掛かったら鍵を取って手錠を外して下さいって頼むんだな。」
そう言うと、膝まで下げていた良子のショーツを再び腰まで引き上げ、ショーツの中に手を突っ込んで陰唇の内側に鍵を差し込むのだった。
「そんなところに鍵を入れないでっ。」
しかし睦夫は聞く耳を持たない風だった。腰の上まで捲り上げていたスカートも引き下げると今度は藪の中に懐中電灯の光がちょうど良子を照らし出すように調整して地面に置くのだった。
「そうして暫く頭を冷やしているんだな。」
それだけ言うと、睦夫は悠々と駅の方へ向かって立ち去っていく。
「待って。こんな格好で置いていかないでっ。」
その切なる良子の声に睦夫は振り向くことはなかった。
睦夫の姿が消えたすぐ後に足音が聞こえてきた。まともに歩いている様子ではなく千鳥足と言って良かった。サラリーマンらしき男が酒に酔っての帰り道らしかった。
良子は声をかけるべきか迷った。しかし、この男を逃したら朝まで誰も通り掛からない可能性が高いと思われた。
「た、助けてく、くださいっ。」
男が良子のの声に一瞬立ち止まって振り向いた。
「助けてください。お願いです。」
二度目の声で男は近づいてきたが、相変わらず千鳥足で相当寄っている風だった。
「む? こんなとこで、何してんだあ・・・。」
暗闇の中でサーチライトの光に照らされた良子の姿を見つけたようだった。近づいてきた男の息が酒臭かった。
「手錠を掛けられてこの樹に繋がれているんです。どうか、手錠を外してくださいませんか?」
必死で頼み込む良子に、男は樹の後ろに回り込んで本当に良子が繋がれているのを発見する。
「あれっ? お前、警察官か? 女警察官じゃないのか?」
良子は仕方なく頷く。
「誰にこんな事されたんだあ?」
「あ、あの・・・。暴漢に襲われたんです。助けてくださいっ。」
「警官が襲われたんじゃしょうがねえなあ。で、手錠の鍵は何処にあんだい?」
良子はここで言葉に窮する。しかし言わなければ自由になれないのだった。
「あ、あの・・・。ショーツの中なんです。」
「しょ、ショーツ・・・? パンツの事かあ? スカートの下のをっ?」
「そ、そうです。スカートを捲っていいですから。」
「す、スカートを捲るぅ?」
改めて男は良子の格好を見て思わず唾を呑み込んだ風だった。
「スカート、捲っていいんだな?」
「ううっ・・・。は、はいっ。お願いします・・・。」
次へ 先頭へ