手錠自捲り

回送電車の女 第三部




 五十四

 「やっと自分の立場がわかったようだな。そしたらその証しに今から俺の言うことを聞くんだ。まずは手始めとして自分でスカートを下して貰おうかな。後ろ手の手錠でもスカートのホックまでは手が届くだろう?」
 「な、何ですって。自分でスカートを脱げって言うの?」
 「何度も言わせるなよ。」
 良子は暫く考える。この状況では反撃出来る材料は何もなかった。今、男の命令に従わなければ何をされるか分からなかった。それは自分だけの被害では済まないのだと良子は悟った。
 「わかったわ。言うとおりにするわ。」
 良子は後ろ手の手錠のまま、ぎりぎり届くスカートのホックを手探りする。手錠に繋がれた鎖はお尻にやっと手が届くぐらいまでの自由しか良子には許してくれないのだった。ホックが外れると良子が腰を振るまでもなく、スカートはするりと腰から解放されて足元の床に滑り落ちていった。
 「今度はショーツを下して貰おうかな。」
 「え? そんなの、無理よ。」
 「出来るところまでするんだ。」
 鎖で吊られた手錠でもショーツの端は掴めた。悔しさに唇を噛みしめながら手錠で不自由な両手が届く限りで良子は自分からショーツを下に引き下げる。股間の恥毛が露わになるかどうかのぎりぎりまで下げるのがやっとだった。
 「そこから先は両脚をよじれば、もっとパンティを下げれるんじゃないか?」
 「そ、そんな・・・。そんなの無理よ。」
 「それじゃ、お前が服従する気になったという意思表示として俺のモノを咥えて貰おうかな。」
 「えっ?」
 良子は自分の様子がずっと撮影されていることを思い出した。男は無理やりではなく自分から男の局部を口に含むのを撮影しようとしているのだと悟った。良子にはそれを拒む手段が何もないのだった。

未央

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