後部座席座

回送電車の女 第二部




 四十五

 「尿検査をさせて頂きます。」
 「尿検査・・・ですって?」
 いきなり事も無げに女警察官の口から出た言葉に、思わず優愛は復唱してしまう。
 「簡易キットを使って行いますのですぐに済みます。ご安心ください。」
 そう言うと、女警察官は優愛のスカートをたくし上げていく。あっと言う間にショーツ丸出しの格好にされたかと思うと、そのショーツまでをも引き下げ出したのだった。
 「そ、そんな・・・。」
 慌てて優愛は誰かに観られていないか車の外を見回すが、陰のような場所に車が乗り入れられたので周りに人影はない。しかし、優愛の真正面ではそのあられもない姿をカメラがしっかりと捉えているのだった。
 女警察官が取り出したのは、漏斗のような吸い口からチューブが伸びて透明の袋が取付られているものだった。車内で使う簡易トイレのような感じだった。
 「すぐに出せますか?」
 「え、わ、わかりません。」
 そう返事した優愛の言葉を無視するかのように女警察官は優愛の剥き出しにされた股間に漏斗のような吸い口を押し付ける。
 「量はそんなに多くなくても大丈夫ですから。」
 女警察官はそう言ったのだが、優愛は少し前から尿意を覚えていたのに気づいていた。同性の警察官とは言え、他人の前で小水を洩らすのは躊躇われたが早く解放されたい一心から優愛は括約筋を緩める。すぐに黄色い液体がチューブを伝って袋に流れていく。一旦出し始めたら途中で止めることが出来なくなってしまう。
 「いいんですよ。無理に途中で止めなくても。思い存分に出してしまって大丈夫ですから。」
 その声を聞いてもう優愛は観念して出し切ってしまうことにする。
 「もういいですか。出し終わっていますね。今、ティッシュで拭って差し上げます。」
 そう言うと黄色い液体がたっぷり入った透明の袋を、確かにこの女性から採取したと分かるようにビデオカメラの方に掲げて映す。思わず慌てて顔を背ける優愛だったが、顔もしっかり撮られてしまったのは間違いなかった。

未央

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