妄想小説
田舎教師
七十六
「どうだね、早苗君。あの時のトラウマは乗り越えられそうかね?」
「え、ええ。教頭・・・。あの時は高校生でしたから、物凄くショックだったのですが・・・。今はこうして男女の営みのひとつだったのだと理解が出来ました。」
「ほう、そうかね。それは良かった。」
あっけらかんとして答えて口の周りのザーメンを拭い取る早苗に、教頭はこれまでの調教の成果が出て来たのだと我ながら自信を持つのだった。
水着を着替えますからと言って再び教頭に背を向かせ、着て来た服に着替えながら急いでビデオカメラを隠し込んだ袋を回収するのだった。
ピン・ポーン。
それから暫くした日曜の午後、何の予告もなく教頭の家を訪ねた早苗は玄関のチャイムを鳴らす。出て来たのは教頭本人だった。
「な、何だね。君。藪から棒に。な、何をしに来た?」
「あ、ちょっとご挨拶に。」
早苗はにっこりとほほ笑んでみせる。
「貴方、どなたなの?」
教頭の背後から声が聞こえ、義父である教育長の娘と思しき教頭の妻が現れる。
「い、いや、その・・・。」
「あ、初めまして。私、教頭先生と同じ高校で古文の教師をさせて頂いている小俣早苗と申します。教頭にはいつも大変お世話になっているので、今日はちょっと挨拶に伺わせて頂きました。」
「何を言っているんだ。帰りたまえ、今すぐ。」
「あら、何を仰ってるの。折角、来て下さったのに。さ、お上がりなさいな。今、お茶でも差し上げますわ。」
教頭が押し返そうとするのを強引に家に引き揚げる教頭の妻だった。
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