痴漢訓練

妄想小説


田舎教師



 四十三

 「うっ。」
 教頭の手が早苗の尻をスカートの上から撫で上げた瞬間、早苗は声を洩らしかけたがすぐに無言になる。
 (長からむ、こころも知らず黒髪の・・・、乱れて今朝はものをこそ思へ・・・。長からむ、こころも知らず黒髪の・・・。)
 心の中で必死に古今和歌集の一句を呪文のように唱える早苗だった。すると不思議なことに触られている尻のことが気にならなくなってくるのだった。
 「ふうむ。大分冷静でいられるようになったようだな。それじゃ、これはどうだ?」
 教頭は遠慮が要らないことを知って大胆にも早苗のスカートをまくり上げていく。ストッキングとショーツに包まれた尻たぶが露わになると、その腰の縁に手を掛ける。早苗が反応しないのを確かめてからするりと皮を剥くようにショーツをストッキングごと腿の途中まで引き下げてしまう。
 (長からむ、こころも知らず・・・。長からむ、こころも知らず黒髪の・・・乱れて・・・乱れて今朝は・・・ものをこそ、ものをこそ思え。長からむ・・・。)
 早苗の呪文のような和歌の一首が胸のうちで繰り返されていく。その間にも教頭の手は後ろから早苗の尻たぶに割り込むと鼠蹊部を辿っていく。
 (長からむ・・・、長からむ・・・。乱れて、乱れて今朝は・・・・。こころも知らず黒髪の・・・・。)
 とうとう教頭の指は後ろから鼠蹊部を経て陰唇を探り当てる。割れ目に指が掛かるが、早苗は必死で和歌を唱え続けている。
 教頭の指が早苗の陰唇を離れる。
 「いいだろう。よく耐えた。これなら大丈夫だ。」
 まだ目隠しをしたままの早苗の前で、陰唇に突っ込んだ指の先を一瞬嗅いでからハンカチで拭うと早苗に目隠しを取っていいと告げる。
 「痴漢に遭っても動じないで居られるようになったようだから、今度は痴漢への対処法を教えることにする。」
 「対処法・・・ですか。よ、宜しくお願いします。」
 早苗は一筋の光明が見えてきた気がしたのだった。

パンツ下し

 「いいかね。痴漢が、こう・・・。お尻に触ってきたらまず冷静になって、その後にタイミングを見計らうんだ。相手が夢中になってそちらにばかり注意が行っているのを肌で感じるのだ。そしたらまず一気に後ろに両手を回して、相手の手首を掴むんだ。逃げれないように片手ではなく両手を使うんだ。そして相手が驚いている隙に、さっと振向いて掴んだ手首を頭の上まで持ち上げるのだ。そして叫ぶのだ。『この人、痴漢ですっ。』ってな。さ、やってみたまえ。」
 教頭は、まだストッキングとショーツを太腿の途中まで下ろしたままになっている早苗のスカートの中にうしろから手を突っ込んで尻たぶを再度掴む。
 早苗は心の中で(いち、に、さん・・・)と三つ数えてからさっと両手を後ろに廻して教頭の手を摑まえると手首をしっかり握る。l
 「こ、このひと・・・、ち、痴漢・・・、痴漢ですぅ。」
 「そうだ。その調子だ。」
 教頭は早苗に掲げられた腕の脇から早苗の顔を見て、ウィンクして微笑んでみせる。

小俣早苗

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