妄想小説
田舎教師
六十六
授業の為に一旦職員室へ教科書などを取りに戻ろうとした早苗だったが、歩き出した途端に股間に違和感を感じる。一歩踏み出すだけで、何かが股間を締め付けるようで気になって仕方がないのだ。それもショーツもストッキングも穿くことを許させてない素股のノーパンなのだ。
堪らずに誰も居ない廊下の隅でスカートの中に手を入れてみる。手探りで何か革の帯のようなものが、腰に巻かれたベルトから股間に割り込んでいるのが分った。
(こんなものを腰に着けて、しかもノーパンだなんて・・・。もし生徒等に気づかれてしまったら・・・。)
そう思うと、不安は募るばかりだが、ノーパンで授業をさせられた時も何とか凌いで乗り切ったことを思い出し、なるべく教室では動かないようにして授業をしようと決めた早苗だった。
早苗が誰も居ないと思って、スカートの中に手を入れて手探りで調べていた時、実は廊下の端の角で早苗の様子を窺っているものが居た。教頭との一部始終を盗聴器を使ってイアホンで聞いていた落合茂吉だった。音声でしか聞いていないので、茂吉もどんなものを身に着けさせられているのか興味深々だったのだ。
「あ、落合先生。今、いらしたんですか。」
突然廊下の角から姿を現した落合の姿に早苗はドキリとする。
「おや、小俣先生。どうかしましたか? 顔色がちょっとよくないですよ。」
「え、な、何でもありませんわ。」
「そうですか。ま、何か困ったことがあったらいつでも相談に乗りますよ。」
「あ、ありがとうございます。でも、何も困っていませんから大丈夫です。」
そう言って股間の違和感を覚えながら足早にその場を立ち去る早苗だった。そのぎこちない歩き方を後姿で見ながら、茂吉は早苗が股間に装着されたものを想像してみるのだった。
「じゃ授業を始めます。今日も古今和歌集の続きです。えーっと、それじゃまず教科書の句を詠んで貰います。じゃ、須藤さん。30頁の最初の句から。」
早苗は生徒を指名して教科書を詠ませる。普段なら生徒に教科書を詠ませる際には、生徒等の机と机の間を巡回して生徒の様子を見ながら朗読をさせるのだが、この時は教壇の前に立ったままなるべく動かないようにした早苗だった。しかしそれでも股間に嵌められたものが気になってしかたないのだった。
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