妄想小説
田舎教師
十六
「どうだね。卵をもう一度、膝に挟んでみなさい。」
「は、はいっ。ああ、今度のほうが余計に卵の感触がはっきり分ります。このまま力をいれないようにしゃがむのですね。」
「そうだ。よりはっきり卵を肌に感じている筈だ。今度はその感覚を保ったまま、なるべく卵を意識しないで座ってみるんだ。」
「はいっ。」
何も見えないまましゃがんでいくのが怖くて、つい後ろ手に手を伸ばしてソファを探りながら腰を降ろしていく。
グシャッ。
「ああ、また割ってしまったね。あ、いいんだ。私が拭ってあげよう。そのままにして。」
教頭の持ったハンカチが内股にべっとり付いた卵の中身を拭っていくのを早苗は情けない思いでするに任せるのだった。
「申し訳ありません。」
「卵はまだある。もう一度やってみたまえ。」
「わ、わかりました・・・。お願いします。」
「さ、立って。もう一度この卵を膝に挟むんだ。」
「はいっ。」
「座ってみて。そう、そうだ。それでいい。」
早苗は教頭に言われた通りに、卵を膝に挟んだままでソファに座ったり立ったりを繰り返す。ビロードの帯で目を隠しているせいか、卵の感触はしっかり掴めるようになってもう卵を割ったりせずに膝の力を抜くことが出来るようになってきていた。反面、見えていないだけに短いスカートの裾からその奥を覗かせていないかどうかは自信がない。
教頭はと言えば、早苗に目隠しをさせて見えてないのをいいことに立ち座りを繰り返す早苗の真正面に座り込んで、卵を膝に挟んでいるが為に隠せる筈もない裾の奥に覗く若い女教師の下着を存分に覗きこんでは愉しんでいた。
「いいだろう。その感覚を忘れないようにして。明日、更に訓練を続けることにしよう。」
「あ、ありがとうございました。」
ビロードの目隠しを外すとほっと息を吐く。教頭は何時の間にか自分の机の前の椅子に戻っていた。早苗は教頭に教え込まれた通りに片膝を先に折るようにして両膝を出来る限り重ねあわせて裾の奥が覗けてしまわないように細心の注意をしながらしゃがみこんでソファの裏に手を伸ばして汚れてしまったストッキングを拾い上げ、背中に隠し持つ。
「今日はこれで失礼いたします。また宜しくお願いいたします。」
恭しくお辞儀をすると、教頭室を後にした早苗だった。
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