試し縛り

妄想小説


田舎教師



 五十一

 教頭は素直に後ろ手に出した早苗の手首にロープを巻き付けると、もう片方の手首にも回した上で縄の端と端を括りつける。余ったロープを胸の上下に回すと腕も動かせないようにきっちりと縛り上げてしまう。
 「どうだね、縛られてみた感覚は?」
 「あ、あの、・・・。少し怖いです。それと、何かとてもいけないことをしているような罪悪感があります。」
 「身体はどうだね。何か感じるかね。つまり性的に興奮するとかだが。」
 「わ、わかりません。そんなことはないような気がします。」
 早苗は少しだけ嘘を吐いた。縄が手首に掛かって自由が奪われたと思った瞬間、身体の奥深いところで、かあっと熱くなるように気がしたのだが、それは言わないでおいたのだ。
 「では、その格好のままこの雑誌を見てみなさい。」
 「え、あれを観るのですか?」
 「そうだ。目を逸らさないで、じっくり観るのだ。」
 教頭は後ろ手に縛った早苗の目の前に生徒から取り上げてきたというエロ雑誌を広げてみせる。目の前に縛られた女性が喘ぐような表情で上目使いにこちらを見ている写真だった。実際に縛られながら観ると、その臨場感はただ見るのとでは大違いだった。この縛られた女性の息遣いが感じられるような気がしてくるのだ。思わず、早苗は生唾を呑みこむ。自分からも喘ぎ声が出てしまいそうで、不安になる。
 「こちらのページはどうだ。」
 次のページには同じ様に縛られた女性が今にも脚を広げさせられようとしていた。必死で堪えている様子だが、今にも男の力に負けて隠している部分が露わにされようとしていた。
 「ああ、そんなこと・・・。ああ、駄目っ。」
 「それじゃ、こちらのページはどうだ。」
 次のページでは縛られた女性が下着を剥ぎ取られようとしていた。早苗は自分の下着が剥されていくような錯覚を憶える。

小俣早苗

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