妄想小説
田舎教師
三十七
「お願いっ。手を放して。」
「駄目だね。さ、両手を背中に握ったまま持ってゆくんだ。俺の手を繋いだままな。ほうら、もうこれで俺の身体と密着するしかないんだぜ。何か感じないか。下半身の方で。」
「や、やめて。そんなところ、へんな物を押し付けないで。」
「へへ。気持ちいいくせに。いいんだぜ、感じてあそこを濡らしても。教頭が言ってたぜ。お尻を触られてパンツが湿ってたってな。」
「ど、どうして・・・。そんな事を知ってるの?」
「何でも知ってるさ。あの時みたいにパンツの裏側をぬるぬるに濡らしてみな。」
「いやっ、言わないでっ。」
「お前の下半身に今突き立ててるものが何かは判ってるよな。この間はお前のスカートの後ろを汚してやったけど、今日は前をべっとり汚してやるからな。」
「やめて、そんなこと・・・。そんな事されたら、もう外は歩けなくなっちゃうわ。」
「ほうれ、腰をもっと俺のほうへ突き出すんだよ。そうりゃ、もっとだ。」
「あ、駄目っ・・・。出さないでっ。ああっ・・・。」
早苗は大きな声を挙げてしまったと思って、ふと我に返る。
(えっ、ここはどこ・・・?)
朦朧とした眺めが次第にはっきりしてくると、早苗は何時の間にかベッドの中で毛布にしがみつきながら唸っていた自分に気づいたのだった。
(ゆ、夢・・・だったの?)
つい今まで見ていた夢を振り返ってみようとする。見知った顔の男が近づいてきたと思ったのだが、今になってみると全く顔は思い出せない。冷静に考えてみても、自分は痴漢の顔を見ていなかったことにやっと気づく。
(下着が濡れていたのを教頭に聞いただなんて、そんな筈ないのに・・・。)
夢の中で自分の思いが錯綜していたことに今更ながらに愕然とするのだった。
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