檀上のパンチラ

妄想小説


田舎教師



 五

 「す、済みませんでした。あの・・・、小俣早苗と申します。よろしくお願いします。」
 急にマイクを手渡されて慌てて受け取ったので気が動転して手短に挨拶を繰り返した早苗だったが、またしても短いスカートの膝元から裾の奥を覗かせてしまったことに気づいていなかった。
 それを見た男子生徒から再び指笛の歓声が上がったのだが、それがミニスカートから覗いたパンティのせいだとは全く気づいていない早苗だった。

 「あ、早苗先生。戻っていらっしゃったわね。やっぱり若い先生は人気があっていいわね。凄い歓声だったわよ。特に男の子たちからはね。」
 「え、そうでしょうか。私、初めてなのでよく分からなくて。」
 早苗が自分の席に戻ろうと、稲葉教務主任の机の横をすり抜けようとしたときだった。いきなり稲葉教諭の机の上から紙が数枚、床に落ちて散らばる。
 「あ、いけない。ぶつかっちゃったのかしら。今、拾いますね、稲葉先生。」

紙拾いパンチラ

 慌てて拾い集める早苗は腰を屈めてしまって、またもパンティをミニスカートから覗かせてしまっていた。それをこっそりと伺う男性教師も少なからず居たのだった。稲葉は実は自分がタイミングを計って落したにも関わらず、早苗がまたしてもパンチラという痴態を晒しているのを侮蔑のまなざしで眺めていた。
 「ああ、拾ってくれてどうもありがとう。そうだったわ、早苗先生。教頭先生がお呼びよ。教頭室へ来て下さいって。」
 「ああ、稲葉先生。済みません。えーっと・・・。でも、教頭室って?」
 何処の学校にも校長室があるのは知っていたし、この高校に初めて来た際にも教頭に連れられて校長室まで校長に挨拶に行ったのだった。
 「ああ、貴女は来たばかりだから教頭室は知らなかったわね。一番北側にある棟の四階。特殊教室が並んでいる一番奥よ。元は社会科準備室だったのだけどね。」
 「え、社会科準備室?」
 早苗には訳が分からなかった。
 (教頭室・・・? それも元は社会科準備室って。どういう事かしら。)
 訝しく思いながらも、稲葉教務主任に言われた一番北側の棟に向かうことにした早苗だった。
 早苗が職員室を出て行ったのを確認すると、稲葉は教頭の指示どおり早苗が自分で落したかのように紙を床にばらまき、拾わせることで痴態を演じさせるのに成功したことを教頭室に電話で報告するのだった。

女教師後姿

 (ここだわ。教頭室・・・。確かにそう書いてある。)
 最北棟の四階に階段であがった早苗は、理科室、家庭科室、美術室と比較的使われる頻度の少ない特殊教室が並ぶ廊下を通り抜けると、一番奥に教頭室と看板が下げられた部屋を見つけた。明らかに後から付け替えられたらしい校長室風の重厚な造りのドアをノックする。
 「小俣早苗です。教頭先生、お呼びだそうで・・・。」
 躊躇いがちに少しトーンを落として呼びかけてみた早苗だった。
 「入りなさい、小俣君。」
 初めて君付けで呼ばれた早苗は少し驚いたが、教員になったばかりの早苗にとってはどんな先生からも先生付けで呼ばれることにもまだ違和感を覚えていて、久しぶりに普通の言い方で呼ばれた気がしたのだった。
 「失礼します。」
 中に入った早苗は応接セットなどが揃った内装は、校長室と殆ど遜色がないのに驚いた。もともと窓があったらしい場所には目隠しの板が張られ、大き目の洋画の額が掛けられている。

小俣早苗

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