痴漢執拗

妄想小説


田舎教師



 三十六

 「あ、貴方はこの間の・・・。な、何ですか。ち、近寄って来ないでっ。」
 「ほう、覚えていてくれたか。そうだよ。あの時、お前を気持ちよくさせてやった男だよ。」
 「気持ちよく・・・ですって? とんでもないわ。あんな事されて・・・。」
 「じっとされるがままになってたじゃないか。気持ち良かったって証拠さ。」
 「そ、そんな・・・。やめて欲しかったのに、どうしたらいいか判らなかっただけよ。」
 「へっ、子供じゃあるまいし。いい大人が、嫌の一つも言えなかったとでも言うのかよ。」
 「そ、それは・・・。」
 「ほら、またこうやってすりすりしてやるぜ。もっと、こっちへ来な。」
 「や、やめてっ。触らないでっ。ほ、他の人が見てるわ。」
 「見られたほうが余計に感じるくせに。」
 「そんな・・・。勝手な事、言わないで。」
 「ほら、その手は邪魔だよ。さ、こうして俺の手をしっかり握るんだ。」
 早苗は胸を触ってくるのを必死で防いでいた腕を取られる。
 「いやっ、放して。」
 「さ、こっちの手もだよ。俺の手をしっかり握るんだ。」
 男はがっしりと恋人繋ぎで早苗の手を握りしめる。両手をしっかり握られてしまうとどんどん男の方へ引き寄せられていってしまう。早苗は両手を掴まれて逃げれない事で、子供の時に健太に両手をしっかり掴まれてお医者さんごっこから逃れられなかった時のことを思い出していた。



小俣早苗

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