妄想小説
男女六人 卒業旅行
四十三
「玲子。お前、琢也のことが気になっているんだろ?」
「え、そ、そんな・・・。どうして?」
「何となく見てればわかるのさ。特に茉莉と二人っきりだと思うと落ち着かないんじゃないか?」
「それは・・・。」
はっきり否定は出来ない自分に玲子も気づいていた。
「お前、うかうかしてると琢也を茉莉に盗られちゃうぞ。」
「え、だって・・・。琢也は茉莉のこと、気になっているみたいだから。」
「男は誰だって、茉莉みたいなエロい挑発を受けるとぞわぞわしてくるものなのさ。」
「優弥もそうなの?」
「俺はあいつと長いから、もう慣れっこになっちまったけどな。」
「わたしは茉莉みたいにはどうしてもなれないわ。」
「それでいいのさ。玲子は玲子らしくしてるのが一番、魅力的だから。」
玲子は初めて男子から魅力的だと言われた気がした。
「優弥、あのね・・・。」
「なんだい?」
「わたし、優弥に魅力的って言われて嬉しかったわ。」
「そうか・・・。それは、どうも。」
優弥はそれでも満足げな微笑を玲子に返したのだった。
「そろそろ玲子たちを捜しに行ってみない?」
「あ、そうだな。ここでじっと待っててもしょうがないしな。」
「疲れてるんなら、わたしが漕いでもいいのよ。」
「お前に漕がせるなんて、そんな訳にいくか。俺が漕ぐよ。」
「そうなの。じゃ、お願い。」
「おう、任しとけぃ。」
哲平は再びオールを取り上げると勢いよく漕ぎ始める。
茉莉の息遣いはどんどん荒く、強くなっていった。琢也もそれに合わせて動こうとするのだが、ちょっと大きく身体を動かすと舟が大きく揺れるので、茉莉にただ身体を任せていた。
「いいのよ。出しちゃっても。そのほうが気持ちよくなるんでしょ。」
「ああ、でも・・・。ああ、いいっ。うっ。」
茉莉の手の中で熱い滾りが迸りでたのと、遠くから声が聞こえてくるのが同時だった。
「おーい。茉莉ーっ。琢也はーっ?」
茉莉は素早く身を起すと、上に羽織っていたカーディガンをさっと脱いで琢也の下半身に掛ける。
「哲平ーっ、知世ーっ。こっちよー。」
哲平たちに手を振りながら、琢也が身を起そうとするのを、茉莉はもう片方の手のひらを琢也に翳すようにしてそれを制する。
「琢也は眠くなっちゃったらしくて、ここで寝てたの。ゆうべあまり眠れなかったんですって。」
(あまり眠れなかった・・・?)
哲平は茉莉の言葉にちらっと知世のほうを振り返る。
(お前だけ、ぐっすり寝てたのか?)
そう思いながらも、そんな事は口にしない。
哲平たちのボートが茉莉が居るボートに近づいてきた頃、茉莉が掛けてくれたカーディガンの下で萎えてきたペニスをズボンに仕舞いこむと、ゆっくりと起き上がる。
「あー、悪りい、悪りい。つい眠くなっちゃって、昼寝してた。」
「なんだよ。お前もゆうべはあんまり眠れなかったんだな。」
「ボートの上で、太陽の光を浴びてたらついうとうとしてきちゃってさ。」
「そうかよ。そろそろ戻ろうぜ。」
「ああ、哲平。わかった。茉莉、オールを貸して。」
「はいっ。じゃ、お願いするわ。」
茉莉からオールを受け取って漕ぎだした琢也は、茉莉がまだパンティを穿いていないのに気づく。スカートの奥を琢也の前では最早隠そうとしていないのだ。茉莉の膝元を見て気づいたのだが、黙っていたのだった。
哲平の舟と琢也が漕ぐ舟が岸を目指し始めると、その先に優弥と玲子の乗った舟が見えてきたのだった。
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