ホットパンツデビュー

妄想小説


男女六人 卒業旅行



 二十二

 「おお、凄げえな。その格好・・・。」
 茉莉から借りたホットパンツで皆の前に現れた玲子に、哲平が思わず声を挙げる。
 「嫌だったらあ。そんなに見ないで。恥ずかしいわ。」
 「いや、お前。意外と綺麗な脚してんだな。普段は長いスカートばっかだから気づかなかったけどよ。」
 相変わらずじろじろ玲子の脚を眺めている哲平に知世が横から肘で突く。
 「嫌らしいわよ、目付きが。哲平ったら。」
 知世のほうは穿き替えてはいるが、前日と同じ肌を露出しないパンツルックだった。
 「おっ、茉莉。今日もミニスカかい?」
 「だって、ショートパンツは玲子に貸しちゃったからね。」
 「あ、ごめんね。茉莉っ。貴方が穿く筈だったのに・・・。」
 「あら、冗談よ。私は最初からミニで来るつもりだったから。」
 哲平が目を丸くして、生唾を呑みこむ。
 「そ、そのスカートで自転車乗るつもりか?」
 「そうよ。わたし、ミニスカで自転車乗るのも慣れてるもん。」
 「おい、そろそろ行こうぜ。レンタル屋が混む前に借りちゃおうぜ。」
 「おう、優弥。じゃ、いくか。な、琢也。」

タンデム車

 「なあ、この二人乗りの自転車で行こうぜ。」
 湖畔のレンタルショップへ着くと哲平が二人乗り用自転車を選んでくる。
 「おう、哲平。いいじゃないか。じゃあまた、メンバーを決めなくちゃな。」
 「じゃあ、私は、た・・・。」
 「茉莉っ。昨日はお前、琢也と一緒だったから、今日は俺に付き合えよ。」
 「え、優弥。ま、いいけど・・・。」
 「だったら琢也は玲子とにしろよ。俺、昨日玲子とだったから。知世、それでいいだろ。」
 「そうね、私はいいわよ。玲子もいい、それで?」
 「そりゃ、特に構わないわよ。」
 「じゃ、そのメンバーで一台ずつな。ペースは特に合せなくていいからな。取り敢えず、湖を半周した辺りで落ち合おうか。」
 「オッケー、哲平、じゃ。先、いくぜ。茉莉、いいかっ?」
 「おう。優弥。あんまり飛ばすなよ。じゃ、俺たちも行こうか、知世。」
 「いいわよ、哲平。」
 「じゃ、玲子。俺たちも出発しようか。」
 「琢也、あんまり無理しないでね。」
 「大丈夫。最初っから飛ばすつもりはないから。のんびり行こう。どうせ、俺たちは文科系組だものな。」
 元バスケ部同士である優弥と茉莉のコンビは体育会系のノリで、どんどんスピードを上げていく。哲平も何とかそれに追い着いていこうとするが、どんどん距離は離れていく。
 「畜生。あいつら、やけに早ええなあ。さすが元バスケ部同士だな。」
 「哲平、いいよ。追いつかなくたって。後ろにまだ玲子たちも居るんだし、いいじゃないの。」
 「じゃあ、ちょっとスピード落すぞ。」
 「いいわよ。ってか、そうしてっ。」
 先を行く優弥と茉莉の姿がどんどん小さくなっていく。後ろを振り向いた哲平の目にはまだ琢也と玲子の姿も見えないのだった。

玲子

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