同窓会受付

妄想小説


男女六人 卒業旅行



 二

 「ちぇっ。何で俺たち二人が寄りによって受付なんだよぉ。」
 「仕方ないわよ。受付は男女二人のペアでやるって決まってるでしょ。玲子が言うには、湘東第一卒の男女で、未だに連絡取り合っているのは私達しかいないって言うんだもの。」
 「連絡取り合ってるって・・・。まるで、俺たち。付き合ってるみたいな言い方じゃねえか。」
 「そうじゃないけど。私達、幼馴染みだって皆んな知ってるんだから。」
 「ちぇっ。何だか損したみたいだなあ。」
 「まあ、いいじゃないの。始まるまでだけなんだから。あ、あれっ。茉莉じゃない?」
 「ああ、あいつ。相変わらず出で立ちが派手だなあ。」
 目立つミニスカートで愛嬌を振りまきながら近づいて来る瀧川茉莉の姿を哲平も認めて正直な感想を洩らす。
 「あーら、知世に哲平じゃない。あんたたち、相変わらず仲、いいわねえ。」
 「ちげーよ。幹事と受付、押し付けられただけだよ。」
 「ふうん、そうなの? じゃ、また後でね。」
 そう言って茉莉は既に何組かグループを作り始めている知り合いたちの一つに近づいて行く。
 「茉莉って高校はタレント輩出で有名な堀北学園に入ったんだったよな。」
 「そうよ。タレント志望だってずっといってたから。今はどっか、プロダクション事務所にも所属してるみたい。」
 「ふうん、そうなのか。着々とってわけだ。」
 「そう言えば、哲平も芸人を目指すっていってたわよね。」
 「ああ、いちおう芸術学科のあるN大付属M高からスライドでN大には入ったけどな。落研で修行中ってとこだな。あ、あれは優弥じゃないか。おい、優弥っ。受付はこっち。」
 「おう、哲平。久しぶりだなあ。元気か?」
 「ああ、まあな。」
 「二人揃って受付か。」
 氷室優弥も隣の本間知世を見てからかうように言う。
 「二人揃ってって・・・。ただの幼馴染みを続けてるだけよ。」
 「優弥クン。さっき茉莉、受付済ませてあっちに行ってるわよ。」
 「え? どうして俺に茉莉のことなんか・・・。」
 「あら。だって、中学の時は仲のいいカップルだったじゃない。」
 「ちげーよ。ただお互い男子と女子のバスケ部のキャプテンだったってだけだよ。別に・・・。」
 そう言いながらも優弥が茉莉のことを目で追っているのを知世は見逃さなかった。
 「じゃ、後でな。哲平。」
 「ああ、受付終わったら合流すっから。」
 「あ、放送部のマドンナ。来たわよ。」
 「え? 玲子、来たのか?」
 知世の声に哲平もついその姿を捜す。
 「玲子ったらあ。こっち、こっちよ。」
 「あ~あ、知世っ。久しぶりぃ~。ごめんねぇ。受付とか頼んじゃって・・・。あ、哲平クンも一緒なのね。」
 「何言ってんだよ。おめえが頼んだんじゃねえかよ。」
 「あ、そうだった。忘れてたっ。だって、受付は男と女ひとりずつっていうから。知世と哲平クンしか思いつかなくて。」
 「玲子。優弥クンも来てるわよ。」
 「え、そうなの? どこっ?」
 「ほらっ。あそこ。玲子、優弥のこと・・・、憧れてたもんね。」
 知世の言葉に深町玲子は顔をちょっと赤らめる。
 「え? そんなあ。みんなもじゃない? だって、クラスいちカッコ良かったじゃない。」
 「ちぇっ。優弥は女子に人気あったからなあ。玲子もそうなのかあ。案外ミーハーなんだな。」
 「じゃ、あとでね。」
 皆に挨拶に行く玲子を見送ると、知世はまだ来てない者をリストから捜す。
 「あとは琢也くらいね。あ、噂をすれば来たわ。」
 「ほんとだ。おーい、琢也っ。お前、最後だぞっ。」
 「おお、哲平っ。悪い、悪い。ちょっと迷っちゃってさあ。もう皆んな揃っているの?」
 「ああ、お前以外はな。お前が最後だぜ。」
 最後にやってきた樫山琢也は先にやってきた仲間のほうを見回している。
 「なんだ。誰か捜してんのか? お目当ての女の子でもいるのか?」
 「何言ってんだよ。そんなのあるわけないだろ。」
 照れ隠しをしながら受付を済ませるとみんなの輪の方へ歩いて行く琢也を見送る。リストで参加者のチェックをすると受付を片付け始める哲平と知世だった。

知世

  次へ   先頭へ




ページのトップへ戻る