支笏湖

妄想小説


男女六人 卒業旅行



 四十

 「わあ、綺麗ね。ここが支笏湖なの。」
 「そうよ、玲子。茉莉がここでロッジを予約してるらしいの。今、宿泊人数の追加が出来るか確認に行ってるんですって。」
 「へえ、こんな湖畔に泊れるのね。あ、あそこでボートに乗ってる人達が居るわ。」
 「ああ、あれはカヌーよ。あとで私たちも乗ってみましょうよ。」
 「いいわね、玲子。」

支笏湖カヌー

 「あ、茉莉が戻ってきた。」
 「皆んな。オッケーよ。今、空いてるらしいので寝室が多いコテージが取れることになったわ。」
 「よかったじゃない。それなら、男女で分かれて寝れるものね。」
 「あら、知世は男女で泊まって気づまりだったのね。」
 「う、ううーん・・・。」
 「ま、いいわ。チェックインは午後からだからそれまでの間、ボートに乗りに行きましょうよ。」
 「どうするんだい、茉莉。またグループ分けかい?」
 「それはそうよ。ボートは二人ずつで乗るものよ。えーっと、今度は玲子は優弥とね。それから知世は哲平。琢也は私とね。」
 「あれ、また茉莉は琢也とかい? なんか琢也とが多くない?」
 「あら、哲平。男女三人ずつだから何度かは同じペアが出来ちゃうのよ。ね、そうでしょ。琢也。」
 「ああ、男女がそれぞれ一度も一緒になったことのない組合せは二つしか出来ないからね。」
 「順列と組合せ問題ね。さすが琢也が数学が得意だわ。」
 「そういう茉莉もちゃんと分ってるみたいだね。どう、知世。あってる?」
 「そうね。あとまだやってない組合せは二通りで、そのどちらもが玲子か私が前と同じペアになるって計算になるわね。」
 「知世は女子一番の秀才だから、すぐに計算が出来るんだな。俺はちんぷんかんぷんだよ。」
 「哲平は数学が苦手だったものね。でも体力だけはあるみたいだからしっかり漕いでね。」
 「ああ、知世。体力だったらまかしてくれ。」
 六人はそれぞれのペアになって貸しボート屋のほうへ向かうのだった。

知世

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