妄想小説
男女六人 卒業旅行
十一
琢也は中学生の頃の女子バスケ部員だった茉莉の姿を思い返していた。当時の女子バスケ部員のユニフォームは女子運動部の中でもとりわけセクシーなものだった。タンクトップの上着は胸の膨らみが揺れるのを隠すことも出来なかったし、下半身のブルマはとりわけ短いもので、太腿を思いっ切り露わにしていた。そんな中でも発育が進んでいた茉莉のユニフォーム姿は男子生徒の誰をも虜にしていた。
「オ、オナニーなんて・・・。」
「ほらっ。身体のほうが正直ね。ここ、もうこんなになってる。」
茉莉が耳元でそう囁くのを聞いて、琢也は自分が勃起してしまっていることを悟られているのを知る。
何と言い訳しようかと考えている琢也の耳に、聞き慣れた声が遠くから響いてくるのが聞こえてきた。
「おーい、琢也っ。居ないのかあ。茉莉ーっ。」
「しっ。哲平、教会の中よ。あんまり大きい声を出しては駄目って。」
哲平の呼び声を窘めているのは玲子の声のようだった。
思わず答えようとする琢也の唇に真っ直ぐに立てた茉莉の人差し指が当てられた。
(しっ。)そう言うかのように茉莉が小さく首を横に振る。その仕草に琢也は思わず身体が凍りつく。茉莉のもう片方の手が琢也の背中に伸びてきて身体をぎゅっと自分のほうへ引き寄せる。
「あいつら、もうここを出ちゃったのかな・・・。」
「そうみたいね。でも、ここ。綺麗なところね。素敵な雰囲気だわ。」
「そうかなあ。ただ薄暗いだけって気もするけど・・・。」
玲子とは違って哲平はあまり興味なさそうだった。その時、琢也は自分の唇に当てられていた茉莉の手がするするっと降りてきてズボンの股間に当てられたのを感じる。思わず声を挙げそうになるのを必死で堪えた琢也だった。茉莉の股間に当てられた手は一生懸命何かを捜すようにその辺りをまさぐっている。次第に茉莉が何をしようとしているのか琢也にも察せられた。しかしそのことは益々琢也に声を挙げるのを禁じてしまうのだった。やがて茉莉の指が探っていたものを探り当て、ゆっくりとそれを引き降ろしていく。琢也は今更という思いと、その先に来ることの予感への期待に益々声が出せなくなる。
「やっぱりあいつら、もうここを出ちゃったみたいだな。」
「そうね。もう一つ教会があるから、そっちへ向かったのかも。」
二人の声がかなり近づいてきているのを感じながらも琢也は声を出すことも身体を動かすことも出来なかった。その間にも茉莉の手は大胆にズボンのチャックを下ろしたその奥へと忍び込み、とうとう屹立した肉棒の塊りを引き出してしまう。茉莉の手のひらが琢也のそれを優しく、しかし次第に力を篭めながらしっかりと握りしめると、その得も言われぬ快感に酔いしれて琢也は只身を任せるしかなかった。
「なあ、玲子。あいつらを捜しにもう一つの教会の方へ行ってみようぜ。」
「そうね。わかったわ、哲平。行きましょう。」
二人の足音がゆっくりと遠ざかっていくのが琢也にもはっきり分かった。その間にも握りしめられた己の硬くなった陰茎がさらに硬度を増していくのを琢也には止められない。
(ああっ・・・。)
琢也は茉莉に聞こえるかどうか判らないような微かな溜息を洩らす。その声に反応したかのように茉莉の手は上向いた棹を上下にくねらせ始める。琢也のほうも堪らずに茉莉の肩を両側からしっかりと抱き抱える。
「うっ・・・。」
いきなり琢也のモノが茉莉の手の中で暴発する。
「いいのよ。大丈夫。これは二人だけのヒミツだから。」
告解所の扉を潜り抜ける時に茉莉がぼそっと口にした言葉だった。既に萎えているペニスを琢也がズボンの中に仕舞いこんだ時には、ぬらぬらしたものは茉莉が咄嗟に出したハンカチによって拭い取られていた。何事も無かったかのように平然と先に立って懺悔室を出て行く茉莉が、自分のザーメンを拭きとったハンカチをいつどのように仕舞いこんだのかも判らず、只茉莉の後について懺悔室を後にするしかなかった自分に琢也は情けなさだけを感じていたのだった。
(いいのよ、大丈夫)と言った茉莉の言葉が、手で握りしめられただけでイッてしまった自分の情けなさに対しての慰めの言葉にしか琢也には感じられなかったのだ。茉莉が言った後の言葉は、このことは他の男たちには内緒にしてあげるという意味にしか取れなかったのだった。
次へ 先頭へ