妄想小説
男女六人 卒業旅行
二十九
「なあ、茉莉のやつ。今日もエロい恰好だったなあ。あんな短いスカートで自転車乗っちゃうんだからな。パンツ見えなかったか、優弥?」
ホテルの食事処で全員で夕食を採った後、それぞれの部屋に戻って缶ビールを開けながら哲平が優弥に話し掛ける。
「いや、茉莉はあれでいて全然隙が無いからな。」
実際は茉莉がタンデム自転車からうまく折り損ねて転倒した際にばっちり白い下着を覗かせた時のことを思い出していた優弥だったが、哲平には話さないでおく。
「それに比べると同窓会の時の知世は無理してたんだな。普段穿きなれないミニスカなんか穿くからパンティ撮られちゃったりしてるし。な、琢也。」
「確かに知世のミニスカなんて見たの、あの時が初めてだったな。しかも今回の旅行じゃ、あいつだけずっとパンツルックだからな。気にしてんのだろうな。」
「そりゃ気にするだろ。あんな写真、男子の間で回覧されたんだから。でも、知世のミニスカ姿も、意外とチャーミングだったと思うぜ、俺は。」
「哲平、お前はちょっと知世のことは贔屓目に見過ぎなんだよ。」
「なんだよ、優弥。俺は別にそんなこと・・・。」
「でも、玲子の脚も結構魅力的なんだな。ホットパンツではあったけど、玲子の生脚なんて初めて見たんじゃないか、琢也。」
「そんな事はないだろ。湘東第一の頃は体育の授業ではブルマ姿だったんじゃなかったっけ。」
「いや、琢也。優弥が言ってるのはそういうんじゃなくて、大人になってからの玲子の事だよ。」
「大人になってからって、俺たち中学卒業後って何回あったっけ。」
「高校に入ってすぐの頃と・・・、確か大学に入ってからもすぐの頃にもう一回あった筈だよ。この間の同窓会が三回目だろ。俺と知世はいつも幹事役押し付けられてたからな。よく憶えているんだよ。」
「ああ、そうだな。三回ぐらいはあったな。そう言われてみると、玲子っていつも長い裾のスカートばっかだったような気もするな。まあ玲子にはああいう格好が似合ってはいるけどな。」
「え、似合ってる? 琢也、お前は茉莉みたいなミニスカのがいいって言ってたじゃなかったっけ。」
「いや、男はどうしてもああいう格好にそそられるって意味だよ、哲平。お前だって、知世が前回、ミニスカで現れた時は結構舞い上がってたくせに。」
「いや、いや、いや・・・。お前みたいに茉莉のミニスカ姿でオナニーしたりしないからな。」
「俺、ほんとにそんな事、言ったか? お前があちこちに言いふらしてるだけじゃないのか?」
「まあまあ、琢也。茉莉のあんなエロい恰好、中学の時からずっとだから茉莉でオナニーした男なんていっぱいいるぜ。哲平、お前だってそうだろ?」
「い、いやあ・・・。そりゃ、一回ぐらいはあるかな?」
「あとは知世でって訳だ。」
「ち、ちげーよ、優弥。知世のミニスカはあそこまでそそられないからな。」
「茉莉ってやつは、結構分っててやってるからな。昔からそういうところは確かにあるな。男を挑発して愉しんでるみたいなところがな。」
「っていうと、優弥。昔、そういう事が何度かあったってことか?」
「ああ、哲平。俺たち、部室がすぐ隣だったからな。入口の扉が半開きになってるの、知ってて態とそのまま着替えて下着見せたりとかな。たまには男女で練習することもあって、そうすると
カットインの時とかに態と身体触ってきたりとか・・・。」
優弥の話に哲平は生唾を呑みこむ。
「あのエロい女子バスケのユニフォームで身体が触れたりするのか・・・。」
「極たまにだけどな。」
琢也のほうは懺悔室、そして洞爺湖へやって来るまでの間のドライブ中のことをありありと思い出していた。
(つい勃起してしまったけれど、あれはわざと挑発してたのだろうか・・・。)
茉莉に弄ばれていたのかもしれないと思うとちょっと口惜しい気がしてくるのだった。
「あの三人の中じゃ、茉莉がいちばんやらせて呉れそうな気がするんだけどな。どうかな、優弥。」
「いや、哲平には無理だな。お前が操れるような奴じゃねえよ。」
「え、俺には無理ってか。じゃ、琢也だったらやらしてくれるって言うのかよ。」
「まあ、琢也だったら有り得るかもな。」
突然、自分の事を言われて琢也は内心ぎくりとする。
「な、何、勝手な事言ってんだよ・・・。」
そう言いながらも動揺している気持ちを悟られまいとする琢也だった。
「だけど、湘東第一で一番セクシーで、エロかったのは何といっても茉莉だよな。琢也、お前もそう思うだろ?」
「ああ・・・。まあな。」
「俺は、筆おろしさせて貰えるんなら、やっぱ茉莉がいいなあ。」
「哲平。何、勝手な事をいってるんだよ。お前には無理だって。」
「想像だけならいいだろうが・・・。琢也、お前。玲子みたいのはどうなんだ?」
突然、玲子の名前を出されて、琢也はますます狼狽える。
「れ、玲子って・・・。突然、なんだよ・・・。」
「いや、セクシーさでは茉莉には敵わないけど、玲子も結構人気はあったからなあ。」
「哲平、お前さ。知世とは仲良くやってるくせに、いろいろ気が多いんだな。」
「優弥、だからさ。想像だけだってば。玲子ってさ。茉莉がセクシークイーンだとすると、玲子は学校のミスコン候補第一位ってとこじゃないかなあ。お前もそう思わないか、琢也?」
「あ、ああ・・・。そう・・・かな。」
今度は琢也は玲子が足を攣って介抱してやった時の事を思い出す。
(あの時、こいつらが来るのがもうちょっと遅かったら・・・。)
琢也には玲子の肩を抱いてやってた時の感触がまざまざと思い出されるのだった。
「なあ、優弥。お前は玲子みたいなのはタイプじゃないんだろ?」
「なんだよ、哲平。勝手に決めつけるなよ。」
「え、違うのか。」
「自分には無いタイプに憧れるってのは、よくある話だって言ってるだけだよ。俺と茉莉とは同じ部活のキャプテン同士だったっていうだけで、俺と茉莉は付き合ってたとかよく言うけどさ。」
「ふうん。そう・・・なのか?」
優弥の微妙な言い方に、哲平は新しい疑惑を感じるのだった。
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