ラブホの風呂

妄想小説


男女六人 卒業旅行



 三十六

 「先に風呂使うね。」
 そう断って琢也はバスルームに篭もることにする。股間に念入りにシャワーを浴びせてからバスタブに身体を沈める。
 (もし・・・。)
 琢也はシミュレーションをしてみる。
 (もし、知世に求めてみたら。もし、知世がそれに応じたら・・・。出来るのだろうか。)
 また懺悔室での出来事が頭に浮かんでくる。
 (あれは夢だったのだろうか。)
 しかし、確かに茉莉はあの狭く暗い部屋の中でおのれのペニスを握って、そして自分はそこで果ててしまったのだと琢也は思い返す。洞爺湖へのドライブの際に、後ろで玲子が眠っている隙に手を載せた茉莉の太腿の生温かい感触が戻ってくる。あの時も茉莉は自分の股間に手を伸ばしてきたのだ。
 (もし今夜同じ部屋になっていたら・・・。)
 そう思った次の瞬間に、足を揉んでやった時の玲子の柔らかな肌の感触が舞い戻ってくる。暫くの間、玲子は自分の方に身体を寄せていた。唇を奪うまで、あと一歩だったと思う。
 (ああ、あの時・・・。)
 いつのまにかバスタブの中で、おのれのモノが硬く勃起しているに気づく。
 (うっ・・・。ま、まずい。)
 自分が風呂に入っている間に、知世が入ってくる筈もないのは分っているのに見られてしまったらと慌ててしまう自分に焦っていた。

 結局、先に風呂を使うことにした玲子だった。ドア一枚隔てただけの向うに優弥が居るのに裸になってしまうのに躊躇わない自分にも驚いていた。静かにバスタブの中に身体を沈めると、微かに隣にいる優弥の気配を感じた。プシュッという音が聞こえてくる。ふたつめの缶ビールを開けたのだろうと思う。優弥も緊張してるのかもしれないと思う。
 (いや、あの優弥が緊張なんかする筈はないわ。だって、ラブホテルは慣れているみたいなことを言ってたし・・・。)
 玲子は優弥に身体を求められたらどうすべきかを考えてみた。すると、大沼で足が攣って琢也に優しく愛撫された時の感触が蘇ってくる。
 (男と女が裸で抱き合うって、ああいう感じなのかしら・・・。)
 玲子は優弥に求められたら拒み切れないような気がしてならないのだった。

 バスルームから戻ってきた茉莉は思いもかけず髪をアップにしていて、うなじが見えるのに気づいて哲平はどきっとする。しかも上に羽織っているバスローブはそんなに丈がなくて、太腿がかなり上のほうまで露わになっていた。その格好で無造作にベッドに腰を降ろすので、哲平は気が気でない。バスローブの下に下着をつけているのかどうかも分らないのだ。
 「哲平、いいわよ。バスルーム使って。」
 茉莉が呑みかけの缶ビールに手を伸ばしながら哲平に告げる。
 「あ、ああ・・・。」
 哲平は声が裏返りそうになるのを必死で堪えて、バスルームに向かう。
 服を脱ぎ捨てトランクスを下げて、たったの今ちょっと前まで茉莉が全裸で浸かっていたかもしれないという湯の中に身を沈めると、何かとってもいけない事をしているような気分になる。
 (お前には茉莉は無理だよ)と言った優弥の言葉が頭に浮かんでくる。
 (なんで俺じゃ駄目なんだよ)と心の中で言ってみる。しかしやっぱりそうかなとも思えてくる。
 お尻をずらして頭ごと湯の中に沈んでみる。どこか甘い香りに身体が包まれていくような気がする。
 「ぷはぁっ。」
 湯から顔を出して頭の中を冷まそうとする。
 (「お前を抱いていいか。」 いや、そんな口調は駄目だな。「抱かせてくださいっ。」 そんなへりくだる事はないか。 「お前を抱きたいっ。」 そんなガツガツした感じじゃ駄目だな。 やっぱ、黙って肩をがっしり掴んで押し倒して唇を奪う・・・。そんな事、出来る訳ないか。)
 いろんな思いが頭を駆け巡って収拾がつかなくなりそうだった。

茉莉

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