妄想小説
男女六人 卒業旅行
十八
「ちょっと茉莉。そんな所に貴方みたいな短いスカートで立ったら、下から覗かれちゃうわよ。」
「何、言ってんの。100メータ近くあるのよ。下から見上げたって分らないわよ。」
茉莉が言うのも判らないではないが、茉莉が短いスカートのままガラスの床の上に立つと、下から見上げたことを想像して、思わず男たちは生唾を呑みこんでしまう。
「ねえ、玲子もこっちへ来てちょっと立ってみなさいよ。」
「え、茉莉。私はいいわ。」
玲子は茉莉のように丈が短い訳ではないが、スカートではあるのでガラスの床の上に立つのは憚られたのだった。
「ほらっ。全然平気よ。」
茉莉は男たちを挑発するかのように、ミニスカートのままガラスの床の上で大きく脚を広げて見せるのだった。
「ねえ、もう行きましょうよ。」
女の中で独りズボンを穿いてきている知世がこれ以上見ていられないとばかりに、エレベータのほうへ歩き始めると、男たちも後を追うのだった。
「ねえ、ちょっと待って。私も行くから。」
茉莉もやっとシースルーフロアから離れて皆の後を追い掛けていく。
五稜郭からは同じ割り振りで次の目的地の大沼を目指すことになる。優弥が運転を代わろうかと哲平に申し出るが、哲平は意地でも運転していくと言い張って譲らない。
「じゃ、まあ安全運転で頼むな。」
「優弥が哲平の隣で助手席に乗ったほうがいいんじゃない? 私じゃナビゲートみたいな事はとっても出来ないし・・・。」
「大丈夫だよ、玲子。俺ひとりでちゃんと大沼まで行ってみせるから。」
「玲子っ。哲平がそう言うんだから、信用して隣に乗ってやれよ。」
優弥はそう言って、五稜郭から先も玲子を哲平の隣に座らせるのだった。
「今度は知世も琢也の隣に座りなよ。」
茉莉はそう言って知世を助手席のほうに座らせる。知世ももう一台では哲平の隣に玲子が乗っているのを見ていたので、茉莉の言うとおりにすることにした。
「じゃ、お願いしますね、琢也さん。」
そう言うと、知世は初めて男性の横に座ってシートベルトを締めるのだった。
「じゃ、私は後ろでゆっくり寛ぐから。」
茉莉がそう言ってミニスカートから露わに出ている脚を横に伸ばして座る。その姿を琢也はバックミラー越しにちらっとだけ眺めるのだった。
二台のカローラは付かず離れずを繰り返しながら無事、大沼湖畔に到着したのだった。そこから茉莉が事前に調べておいた数軒の宿の候補に電話してみて男女三人ずつがそれぞれで別の部屋を取ることが出来る湖畔の温泉旅館「ヴィラ大沼」に宿を取ることになったのだった。
男女六人一緒に食事処で夕飯を採った後、それぞれの部屋へ戻ってから男女別々に夫々で温泉に浸かりに出ることにする。
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