美人女医と看護師に仕組まれた罠
四十三
「こ、これっ・・・。明日香先生じゃないですか。どうしてこんなものが。」
「明日香先生も若い頃、おそらく学生の時代にはお金に困ってた時期があるんじゃないかな。そういう秘密の倶楽部でアルバイトとして働いていたんじゃないかと思う。それが周り廻って偶々権蔵、いや芦田さんが手に入れたということらしい。これは原本じゃなくてその写真を彼が持っているところをさっと盗み撮りしたものなんだが。」
「この事、誰かに言いましたか?」
「いや、まだ。実は、ここのセンタの所長である後藤さんから何か知らないかと訊かれていてね。どうしようかと迷っているんだが・・・。」
「え、絶対駄目です。こんなのがあるなんて、絶対言っては駄目ですよ。そのスマホの画像もすぐに消してください。」
「え? これを消すのか・・・。ううむ。だけと、これは消したくないな。」
「駄目ですってば。」
「ううむ・・・。そうだ。あんたが条件を呑むなら消してもいい。」
「条件? いったいそれは何ですか?」
「ここに写ってるみたいな格好をアンタがしてその写真を私に撮らせてくれるならってことだ。」
「え、何ですって・・・。そ、そんなこと・・・。」
「それを呑むっていうんなら、この画像も消すし、こんな画像があったことは秘密にしておいてもいいよ。でも無理強いはしないよ。嫌ならいいんだ。後藤所長にこの事を話すまでだ。」
「ま、待って。それは駄目っ。うーっ・・・。本当に約束してくれますか? 私がこういう写真を撮らせてあげたら、明日香先生のことは内密にするって・・・。」
こうして、如月明日香も桜井日菜子も二人共、鬼塚医師、後藤所長、芦田権蔵の仲良しだった川谷吾作、磯部留男の言葉によって、お互いが芦田権蔵にバイアグラを渡した張本人であると信じ込まされてしまったのだった。しかしこれらは全て鬼塚医師が書いたシナリオを鬼塚の指示によって二人に吹き込まされたものだったのだ。
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