美人女医と看護師に仕組まれた罠
二十
「まあ。こ、これっ・・・。」
床から拾い上げた日菜子はその正体に気づいて凍り付く。それはいわゆるエロ写真集というもので、看護婦が縛られて乳房を露わにさせられている姿が表紙を飾っていた。
(こんなものを見ながらオナニーをしていたの?)
日菜子は自分が裸にされたような気分だった。
「あ、あの。これっ? 川谷さんのものなんですか?」
「え・・・。い、いや。違う、違う。ボクのじゃないよ。それっ、留男のやつが置き忘れていったんだよ。ボクんじゃないってば。」
「留男さん? 磯部留男さんですか・・・。」
「そ、そうだよ。あいつ、忘れ物をすぐするんだ。」
「そうですか。じゃ、あとで返しに行っておきます。」
日菜子はそういうと表紙を裏返してカートの下の台に載せると、血圧測定の準備をする。吾作は何食わぬ顔で腕まくりをしていたが、日菜子は吾作がズボンのチャックを下げたままなのに気づいてしまう。しかし吾作は自分がしていたことを何とか気づかれずに済んだと思ったようだった。
「今日はちょっと高めでしたね、川谷さん。」
「そ、そうかい? 」
「多少、興奮気味だったのかもしれませんね。ま、もう少し様子みておきましょう。」
血圧計を載せたカートを押してカーテンから出て行った日菜子を見送った吾作は、シーツの下から隠した日菜子の写真を大事そうに引っ張り出す。
(ふう。危なく見つかるところだった。見られたのがエロ雑誌だったから良かったようなものの、こっちの方が見つかってたらえらい事になっちまうからな・・・。)
咄嗟に留男のものだと言い訳した写真集の雑誌は勿論川谷のお気に入りのものだったが、日菜子の本物の写真を手に入れてからは、日菜子のあられもない姿でないと物足りなくて仕方なかったのだった。
「ねえ、明日香先生。川谷さんたらこんなのを見ながら自慰をしてたんですよ。磯部さんが忘れていったものだとか言い訳してましたけど、絶対これ川谷さんのものなんですよ。」
日菜子は明日香の居る診察室に戻ると早速、召し上げてきたエロ雑誌を明日香に見せるのだった。
「まあ、看護師の・・・。男の人って、幾つになってもこんなのが好みなのね。」
「職業柄、こんなのでオナニーをされていると思うと、ちょっと考えてしまいますよねえ。看護師を縛って犯してみたいとか妄想してるんですかね。」
「まあ、あの齢で性欲がまだあるんなら、健康ってことよ。勃起出来るんなら立派だと思わなくちゃ。」
「立派? そうですかねえ。いい齢してって私は思いますけど・・・。」
明日香は日菜子から手渡されたエロ雑誌をパラパラとめくってみる。中の方には看護師だけでなく、明らかに女医らしき姿の女性がやはり縛られて露わな姿を晒されている写真も含まれていた。
(私のことも、こんな風に妄想したりしながら見ているのかしら・・・。)
明日香もあらためて、自分のあられもない姿を妄想しながら自慰に耽る老人たちの姿を想像してみるのだった。
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