美人女医と看護師に仕組まれた罠
二十九
「うわっ。こんな写真、何時の間に・・・? あっ、もしかしてこの間の女医先生が当直だった夜か? ずるいぞ、権蔵。お前だけ抜け駆けしやがって。」
権蔵はこっそりと明日香が当直の夜に眠らせて撮った恥ずかしい写真を留男と吾作にも見せていた。勿論、二人の分のコピーも鬼塚医師から貰ってあった。
「三人で忍び込むのはリスクも高いっていうんだ。それで俺ひとりが代表でな。」
「じゃ、またあの看護婦が当直になる日は今度は俺が代わりに一人で忍び込ませて貰おうかな。」
すかさず磯部留男が名乗りを上げる。留男は廊下で足がふらつくと嘘を吐いて日菜子の胸にしがみついてから、若い看護婦にすっかり入れあげていたのだ。
「その次は俺だからな、留男。なあ。いいだろ、権蔵?」
「ああ、先生に頼んでおいてやるよ。皆んな公平に順番でな。えへへへっ・・・。」
三人はそれぞれに次の女医と女看護婦の当直の日を待ち遠しく思うのだった。
その次の日菜子が当直の日はあっと言う間にやってきた。エロ爺三人組の間では、鬼塚医師の指示の元、当直室に忍び込むのは磯部留男の番と下打合せが出来上がっていた。そのせいか留男は朝から上機嫌なのだった。
「あら、磯部さん。今日はお元気そうですね。顔色がとってもいいですよ。」
朝の検温にやってきた日菜子は留男の部屋に入るなり、上機嫌の留男を見て挨拶をする。
「ああ、日菜子ちゃん。今日は確か当直の日だったよね。大変だね、毎週。ご苦労さん。」
「あら、仕事ですから。慣れてますわ。それに総合病院の時のシフトよりずっと楽なんです。こちらの方が。夜間だって、緊急の事態になることは滅多にないですし。」
「それは普段から明日香先生とか、日菜子ちゃんがきちんと我々の健康管理をしてくれているおかげだよ。だから僕もさ、ビンビンに元気なんだよ。」
留男はベッドのシーツの下で自分の股間を触りながら(俺のここがね)と卑猥な言葉の部分だけ日菜子には内緒で心のうちで叫んだのだった。
「元気なのはいいんですけど、この間みたいに無理して歩き回ったりしないでくださいよ。」
「ああ、わかってるって。日菜子ちゃん。」
そう言いながら検温の準備をしている日菜子の腰回りを気づかれないように窺いながら、その夜はどんな悪戯をしようかと心ときめかせている留男なのだった。
その日も夕刻、こっそりと鬼塚医師はしあわせ特別養護センタにやってきていた。鬼塚がやってきていることは所長の後藤睦男とエロ爺三人組しか知らないことだった。
当直室の大型空調機に組み込まれている加湿器を使った麻酔薬の散布は思いのほか上手く行ったことで鬼塚は気をよくしていた。最初に試した当直者の夜食の飲み物を配膳室で摩り替えさせるのはリスクが大きいと思っていた。だが今度の方法では確実に部屋の外から空調設備をコントロール出来るし、麻酔の効き具合も部屋に設置した監視カメラとモニタでしっかりと確かめた上で作戦行動が出来るからだ。
その夜も当直室に戻ってきた日菜子を簡単かつ確実に眠らせることに成功したのだった。部屋の換気を自動で行っておいてから、携帯電話で待機中の留男に連絡を入れる。その連絡をいまか、いまかと待っていた留男は、誰にも見つからないように細心の注意を払いながら当直室に忍び込む為に出掛けていったのだった。
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