昏睡唇奪われ

美人女医と看護師に仕組まれた罠




 三十

 日菜子は音楽を聴きながら寝入ってしまったようで、耳にはイアホンが刺さったままだった。すぐさま傍らに歩み寄ると麻酔薬を沁み込ませたハンカチを鼻と口に押し当て完全に昏睡状態にさせる。ぐったりと動かなくなったところで下着が丸見えになるまでスカートと上着を捲り上げる。既に二度目のことなので留男に遠慮会釈はなかった。ズボンの中で首を擡げ始めているペニスを取り出して解放すると、日菜子の股間をまさぐりながら唇を奪う。
 さすがに意識を喪ったままの日菜子に挿入するのは無理と思った留男は代わりに衣服を剥がした日菜子の身体中を舐め回すことにしたのだった。

緊縛相談

 「鬼塚先生。今度の明日香先生の当直日は芦田と磯部の二人と相談して、あっしの番なんですけど・・・。」
 非番で休みを取っている明日香医師に代わって飛鳥井総合病院から出張でやってきている鬼塚の元へ川谷吾作が相談にやってくる。手には先日、日菜子に持ってゆかれてしまったが留男経由で返して貰った縛られた看護婦が表紙のエロ写真集を持っている。
 「何だ。お前たち三人で順番まで決めているのか。」
 「へへっ。俺たち三人は、何事も公平にやろうって決めてるんですよ。それでね、二人から話を聞いてて、麻酔掛けられてマグロ状態の女とは性交も出来ないって言うんだからせめてこういうのは出来ないかと思いましてね。」」
 吾作は手にしていたエロ写真集の表紙を見せる。
 「ほう。縛ってみたいのか。」
 「へへへ。実はあっしはそっちの方が趣味でね。」
 「経験はあるのか、そっちの方は?」
 「若い頃、実はSM倶楽部に嵌まってずっと通ってた時期があるんですよ。」
 「へえ。SM倶楽部ね。私はそういう経験はないが、そういう場所だと女なんかを縛らせてくれるのか。」
 「そうなんですよ。勿論コースはいろいろあって、値段もコース毎に決まってましてね。縛ったうえでセックスをして犯すのは結構値段が張るんですが、縛るだけなら意外とリーズナブルな値段でしてね。それにセックス無しだとその道のプロじゃなくて、臨時のアルバイトの子も結構居るんですよ。あっしはセックスそのものより縛るのとか、縛った女を見るだけのほうが興奮するんでね。殆ど縛り専門ですよ。いろんな縛り方を研究したり、その姿を撮影したりとかね。」
 「写真を撮るのも出来るのか?」
 「その分、金は掛かりますけどね。撮影を許すのは取り分の収入もいいらしくて、アルバイトの子なんか向こうから写真撮影はしないかと誘ってきたりもするんですよ。」
 「へえ。よく流出が心配じゃないもんだな。」
 「先生。この道は裏中の裏の闇社会なんで、写真は素人の世界には決して出回らないんですよ。俺ももしあの女医先生とか若い看護婦を縛って写真を撮らして貰えるんならこっそり自分だけのものとして取っておきますよ。この間のパンツおろした日菜子ちゃんの写真でももう何度もオナニーをしましたしね。」
 「ふうん、そうなのか・・・。」
 「先生。ちゃんと麻酔を効かせれば裸にして縄で縛ったりしても目を覚ましたりはしないんでしょ?」
 「それは勿論麻酔の深さによるがな。出来なくはないな。縄の痕とかは付いたりはしないのか?」
 「それこそ縛り方の程度問題ですよ。わざと痕が長く残るようにも出来るし、一晩でさっと消えてしまうようにも縛れますよ。」
 「ふうむ。面白そうだな。あの澄ました明日香先生が裸で縛られた写真を撮られていたなんてなったら、さぞ恥ずかしがるだろうな。それは確かに興奮するな。」
 吾作の提案から鬼塚にはあるアイデアが閃いた。ライバルの明日香を貶めて飛鳥井総合病院の医局長への道から引き摺り落とす作戦へのヒントだった。その後も二人の会話はどんどん現実味を帯びてくるのだった。

 それは次の明日香の当直の夜に実行されることになった。それまで鬼塚は事が発覚していざということになった時の為にお膳立てだけをして実行犯としてはエロ爺三人組だけにやらせていたのだが、エロ爺三人組だけでは失敗するリスクも考えられたので、このSM倶楽部もどきの撮影にあたっては、鬼塚自身も参加することにした。最初の麻酔は加湿器からの麻酔剤の噴霧によるものにしたが、そこから本格的に眠らせるにはハンカチに示した麻酔剤では浸透深さが不安定で心許ないので鬼塚自身が麻酔注射を打つことにしたのだ。

明日香

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