美人女医と看護師に仕組まれた罠
十七
「おはよう、日菜子ちゃん。どうだった、最初の当直は?」
「あ、おはようございます。明日香先生。一応、何とか無事に初日は終えられたみたいです。」
「みたい・・・?」
日菜子は当直後の朝一番に出勤してきた明日香医師に前夜の報告と引継ぎの為に医務室を訪ねたのだった。
「それが・・・。最初の夜ぐらいは徹夜に近いぐらい仮眠は取らないでなるべく起きていようと思ったんですけど・・・。何か、当直室のベッドがとても居心地が良かったみたいでちょっと横になったらそのまま爆睡しちゃったみたいで・・・。あ、でもナースコールとかは一晩中、何も無かったようです。だから私も一回も目覚めなかったみたいで。」
「あら、何事もなかったんだったら良かったじゃない。」
「ま、そうですけど・・・。爆睡しちゃったせいで、変な夢まで観ちゃって。」
「変な夢?」
「ああ、多分昼間の川谷さんの注射の時のせいです。夢の中で川谷さんともう一人・・・。多分、芦田さんかな。二人に同時に注射が怖いから手を握っててって言われるんです。二人同時は無理だって言うのに、無理やり手を握られちゃって・・・。」
「へえ。日菜子ちゃんたら、男の人に手を握られちゃったのがかなり衝撃だったみたいね。だからそんな夢見たんでしょう。」
「そう・・・ですかね?」
「他には引継ぎ事項はないのね。じゃ、早く帰って休みなさいな。当直明けの非番なんでしょ?」
「あ、ええ。それじゃ、後は宜しくお願いします。」
夢の中のその後の事は話さないまま明日香のもとを辞した日菜子だった。その後の夢の内容はとても明日香医師に告白出来る内容ではなかったのだ。夢の中で日菜子は二人の入所老人のペニスを握って射精させていたのだ。そんなことを明日香医師に話せる筈がないのだった。
「あ、磯部さん。おはようございます。」
引継ぎを終えた日菜子は、夜勤明けの非番でアパートに戻ろうとしていて玄関で入所者の磯部留男に出遭う。
「おう、日菜子ちゃんじゃないか。ゆうべは当直だったんだってねえ。ご苦労さん。大変だったんじゃない? ちょっと顔色が冴えないみたいだけど。」
「あ、いや。今朝はなんだかお化粧のりが悪くて、口紅が薄いせいかな?」
口紅ののりが悪いと聞いて、留男は昨晩無理やり日菜子の唇に押し付けた自分のペニスのせいではないかと思い返す。
「いや、日菜子ちゃんぐらい若いと、却ってすっぴんのほうが綺麗に見えるもんだよ。うん、魅力的な唇の色だなあ。」
そう言われて素直には歓べない日菜子だった。
「そ、そうでしょうか・・・。じゃ、失礼しますね。」
そう言って足早に立ち去る日菜子のミニスカートの尻を眺めながら、留男は自分が昨晩引き下ろしたパンティから露わになった無防備な日菜子の股間の姿を思い返していた。
(まさか、あんな姿をみんなに見られていたなんて思いもしないんだろうな・・・。ふひひひ。)
いやらしそうな目付きで見送られているとも知らない日菜子は、夜勤明けなのにぐっすり寝てしまったせいで妙に元気な自分に不思議な感覚を憶えながら老人ホームを後にするのだった。
次へ 先頭へ