妄想小説
思春期
二十一
「ふうん。それでお前はその先公に仕返しがしたいって訳だ。」
「あ、いや。まずは優等生ぶって女の癖に真っ先に手を挙げて正解を出して俺に恥を掻かせた帰国女子のほうだよ。安斉マリアっていんだ、そいつ。」
「先公に仕返しは、お前にはちょっと荷が重すぎるってわけだ。」
「いや、ま、さ・・・。そのうち、先公にもぎゃふんと言わせてやりたいんだけど、まずは生意気なあのマリアってやつからさ。」
「女に恥を掻かすんだったら、茶巾だな。まずは・・・。」
「チャキン・・・?」
「お前、茶巾知らないのか。女を懲らしめる最高のやり方なんだがな。」
そう言って氷室恭平は不良仲間がリンチで行う茶巾責めを亨に伝授したのだった。
マリアは毎朝、登校する際にその公園を横切っていくのだった。公園を迂回するとかなり遠回りになってしまうからだ。朝の公園は清々しくて、人通りも殆ど無いのに身の安全に不安を感じたことはない。しかし、その朝は妙に何か嫌な予感がしたのだ。
公園中央付近の公衆トイレがある近くで、マリアの前に突然三つの黒い影が現れた。一人は同じクラスの問題児で村中亨という男子だというのはすぐに思い出せたが、あとの二人は別のクラスなのか、マリアの知らない男たちだった。その二人が村中の顎の合図でさっと二手に分かれてマリアの両側に動いたと思った次の瞬間には、さっと近寄ってきてマリアの腕を捉えた。
マリアが身の危険を感じて声を挙げようとしたが、村中が背中に隠し持っていたガムテープでマリアの口を封じてしまう。両腕を抑えられたマリアには抗う術がなかった。
「むう、むむむ・・・。ううっ。」
マリアは必死で何かを訴えようとするのだが、声にならない。
「おい、誰かに見られるといけないからトイレの中へ引き摺りこむんだ。」
村中が二人に適確に指示をする。マリアはもがき続けるが男達の力には叶う筈もなく、男子トイレの中に引き立てられていってしまう。
トイレの床にはあらかじめ用意されていたらしい古いマットレスが敷かれていて、両腕ごと胸元をガムテープでしっかりと括りつけられたマリアがその上に転ばされる。スカートの裾が翻って白い腿がちらっと男達の目に留まる。男達は嬉しそうに捕えた獲物を見守るかのように目をぎらつかせている。
「よおし。そしたらこいつのスカートを上にたくし上げるんだ。胸の下辺りまでずり上げて、裾を頭の上でまとめてきっちりと括り付けてしまうんだぞ。これを巾着縛りって言うんだ。よく憶えておけよ。」
村中は兄貴の氷室から習ったやり方を得意気に受け売りしながら指示していく。
「うぐ、うぐぐぐっ。」
ガムテープで封じられたマリアの口元からはくぐもった悲鳴しか出てこない。そのマリアの顔に下から捲り上げられたスカートの裾が被さり頭の上で括られてしまう。
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