体育館用具室

妄想小説

思春期



 十八

 まず琢也が見張りになって誰もやって来ないことを確認している間に先に茉莉子が忍び込み、ついで琢也が追っ掛けることになる。
 「大丈夫? 誰も来てない?」
 「ああ、さすがに昼休みに体育館に来る奴はいないみたいだな。」
 「じゃ、この蓋、ロックしちゃうわよ。途中で誰か来ちゃうといけないから。」
 そう言って茉莉子は二人が上った二階に、上って来れる蓋を閉めて鍵を掛けてしまう。
 「何で縛るの?」
 「これよ。」
 茉莉子が差し出したのは麻製のロープの束だった。
 「どっからこんなの見つけてきたんだ?」
 「多分、演劇の時に上から何かを吊るすのに使ったんだと思う。棚の奥にあったの。」
 「へえ。」
 「じゃ、時間ないから、さっとやってみて。」
 琢也は茉莉子が両手を後ろに回して待っているのを見て、麻の縄束を取り上げる。
 「いいのか? 痛かったら痛いって言っていいからな。」
 「大丈夫。それより要領は大丈夫?」
 「ああ、昨日古本屋で緊縛師の指南書っていうのを立ち読みして完全に頭に入れてある。」
 琢也は指南書にあったとおり、まず後ろに回された手首に片方ずつ二回縄を巻きつけてから両者を真ん中で縛り、残った縄を茉莉子の胸の上と下に二重に回す。茉莉子の胸が括り出されるような格好になるので、乳房の形が露わになる。ぺしゃんこだと思っていた茉莉子が意外と胸が大きいのに今更ながらに気づくのだった。
 「どう? どんな感じ・・・?」
 「うーむ。今一つ、感じがでないわね。ね、胸を肌蹴させて。」
 茉莉子の大胆な発言に琢也は一瞬躊躇うが、茉莉子が感じなければ体験学習の意味はないと思い、注文通り胸のブラウスのボタンを外すと横に開いてブラジャーを引き下げてしまう。初めて見る茉莉子の裸の乳房に琢也は思わず生唾を呑みこんでしまう。
 「ああっ・・・。」
 「え? どうした・・・。感じるのかい?」
 「ううん。あんまり。だから、感じるようにちょっと演技してみた。団鬼六の小説で、遠山夫人が悪漢たちに縛られて着物を剥されていくシーンを想像しながら。」

茉莉子顔

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