妄想小説
思春期
十九
「そうか。なら、こうしてみるか・・・。」
琢也は茉莉子の背中側に回り込むとどっかりと胡坐を掻き、後ろから裸の胸に手を回して乳首の辺りを指で挟んで弄ぶ。
「どうだ、遠山静子。旦那以外の男に胸をまさぐられる気分は・・・。」
「ああ、赦してっ。いけないわ。ああ、感じてしまう・・・。」
琢也が花と蛇の鬼源親分の役柄を演じてみると、茉莉子も調子に乗っていたぶられる静子夫人の台詞を口にする。茉莉子が身体を仰け反らせるようにしてくるので、琢也も茉莉子が軽く折った膝の膝頭部分を掴んで引き寄せ、裾から手をスカートの奥へ突っ込んでいく。
「ああ、いけないわ。そこは・・・。」
そう言いながら後ろ手で縛られた両手を伸ばして茉莉子は琢也の股間を探る。
「すごい。もうこんなに硬くなってる。」
しかし縛られて自由に手が使えないので、琢也のペニスを引き出そうとするがうまくゆかない。それで琢也は自分でズボンのジッパーを下ろしてペニスを茉莉子の手に握らせる。
「ねえ、女が縛られて手を使えない時は口で奉仕するんでしょ?」
それを聞いた琢也のペニスは更に大きく反り返る。
「あ、今想像したでしょ。想像しただけで、こんなになってる・・・。」
「フェラチオまでしてみたいの?」
「ううん。まだそこまで覚悟は決めてない。でも、いつかは試してみたい・・・かな。」
「あ、そろそろやばい。もうやめないと。午後の授業に間に合わなくなっちゃう。」
琢也は慌ててペニスをズボンにしまうと、茉莉子を縛った縄を解き始めるのだった。
放課後、琢也はいつものように茉莉子と美術室に来ていた。部活指定日ではないので、他の美術部員が来ることはまず考えられない。しかしだからと言って、鍵を掛けて密室にすることは出来ないので、昼間の続きをするという訳にもゆかない。美術準備室には鍵が掛けられるが、扉にはガラスの嵌った窓があるので何時誰に見つかるかしれないのだった。
「どうだった、昼休みのあれは?」
何と言っていいのか判らない琢也は言葉を濁して(あれ)と表現する。
「ううん。縛られる感覚ってのはどんなだかわかったけど・・・。」
「けど?」
「普段とは違う、何かいけないことをしてるっていう興奮はあるけど、性的に興奮するっていうのとは違うんじゃないかしら。」
「乳首は少なくとも立ってなかったかな。でも、僕自身興奮した乳首ってみた事はないんだけど。」
「琢也クンはどうなの? 勃起はしてたから性的に興奮はしてるんだと思うけど・・・。」
「けど?」
「琢也クンも勃起はするけど、縛られた私を見て押し倒して犯したくなるっていうまでは性欲が高まる訳じゃないんでしょ?」
「そりゃそうだよ。エロティックな映画を見たり、ポルノ小説を読んで勃起することはあるけど、誰かを押し倒して犯したくなるって訳じゃないからね。」
「なるほど。そういうもんか。でも、興奮はするんだね。」
「興奮はね。」
「そう言えば、私が縛られて手の自由が利かないときは口でするのよねって言ったら、あそこが凄く反応してたわ。」
「そりゃ、刺激的な言葉だったからね。今まであんまり考えても見なかった・・・。そういうのがあるって知ってはいたけど。」
「あと団鬼六の作品とか読むと、精神的に辱めを与えるとかも性的興奮にかなり影響を与えるのよね。あの時は、そんな時間的余裕が無かったけど。じわり、じわりと脱がしてゆくとか・・・。」
「そういうのは昼休みの時間だけでは無理だよ。」
「そうよね。今度またゆっくり時間が取れるときに琢也クン、付き合ってね。」
「ああ、いいよ。」
そう言いながらも、琢也は茉莉子がどこまでやるつもりなのか、半信半疑でいるのだった。
(まさか、革の鞭で打ってくれとか、おしっこが洩れる限界まで堪えさせてくれなどとは言わないのだよな・・・。)
琢也の頭には、いろんな状況がちらちらと浮かんでは消えるのだった。
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