妄想小説
狙われていた新婚花嫁
四十三
ノックの音に優香は立上る。誰なのかはもう分かっている。夫が眠っている部屋に招き入れなければならないのに、不思議と罪悪感はなかった。ジミーによって次から次へと出される理不尽な要求に、優香自身が次第に麻痺し始めているのではないかとさえ思うのだった。
ドアを開けるとジミーが立っていた。
(Is he asleep ? )
言葉には出さないが、唇がそう語っていた。優香も頷くだけで声は発しない。
ジミーを部屋に招じ入れると、自らベッドの上に跪いて、両手を後ろへ回す優香だった。
(縛ってもいい)という合図だった。いや、(縛って欲しい)という意志表示なのかもしれないと優香は心の中で思う。ジミーは縄をちゃんと用意していた。それが優香の手首に巻かれ始めると、もう観念するしかなかった。
ジミーは優香を縛ってしまうと、隣のベッドで寝息を立てている裕也の元へ向かって鼻に手を当てて完全に寝入っていることを確かめる。その上で、裕也が穿いているトランクスを膝まで引き下げてしまう。露わにされた陰茎がだらしなく縮こまって股間に垂れていた。性欲減退剤が効いているかを確かめているらしかった。それを見ていて、優香は自分が辱められたような気がする。しかし、裕也に性欲減退剤を呑ませたのも、睡眠薬を呑ませたのも自分であることを思い出し、ジミーを責めることは出来ないのだと悟るのだった。
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