妄想小説
狙われていた新婚花嫁
四十二
「毎晩、毎晩、薬で眠らせていたら、さすがにばれてしまうわ。」
カジノへ裕也を迎えに行く車のなかで言った優香の言葉に、ジミーはにやりとして別の薬の壜を渡してきたのだった。
ジミーの説明によれば、それは一時的に性欲を減退させる薬なのだという。効き目は一晩ぐらいしか持たないが、勃起も出来なくなるという。それを夕食の前に夫に呑ませろというのだった。そして食後、部屋に戻ったらどうしたらいいのか、細かくジミーに指示されたのだった。
(今夜も酒はなるべく控えるようにするから)と言う裕也に、食事に出る前にこれを呑むとあんまりアルコールが欲しくならないそうよと薬が目立ちにくい炭酸入りのミネラルウォーターに錠剤を溶かして呑ませた優香だった。
食事を済ませて部屋に戻った優香は、先にトイレを使うからと言ってバスルームに入り、わざと扉を半分開けたままでスカートとショーツを脱ぎ、下半身裸のままで化粧直しを始めたのだった。
鏡に映った背後の部屋でその様子を盗み見ている裕也をこっそり観察する。裕也が自分の痴態に興奮し始めているのをしっかりと確認する。それを見届けたところで、薄手のセクシーショーツを穿いた上でミニワンピースに着替える。
「ねえ、貴方。今日はまだ元気でいる?」
意味ありげな言葉を使いながら裕也に近づいた優香は、さりげなく裕也の方に倒れ掛かってキスを仕掛けるように顔を近づけていきながら、裕也の股間に誤って手を触れてしまう振りをする。
「あ、ごめん。」
いきなり裕也の股間に手が触れたことを謝りながらも、裕也が勃起していないのを確かめた優香だった。それも全てジミーの指示によるものだった。
「あ、ちょっと・・・。お、俺もシャワー使ってこようかな。」
そう言ってちょっと慌てたようにバスルームに向かう裕也を見送ってソファに沈みこむようにしなだれかかる優香だった。
バスルームに入った裕也を優香は想像してみる。ジミーによれば今頃、自分でペニスを扱いては勃起してこないのに焦っている筈だった。
「なあ、優香。俺、今日はカジノで興奮してちょっと疲れちゃったみたいだ。旅行から帰ったら幾らでも出来るんだし、今晩はいいかな?」
あまりにジミーの言う通りに事が進展するので、ちょっと驚きながらも悟られないように優しく微笑み返す。
「無理しないで。何時だって出来るんだし。だったら今晩はお酒、存分に飲んだら? 私もつきあうから。今、作ってあげるわ。ジン・トニックでいいかしら。」
「あ、ああ・・・。じゃ、頼むよ。」
裕也には背を向けてジン・トニックを作りながら、ジミーに最初に貰った薬の方を溶かし込む優香だった。
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