妄想小説
狙われていた新婚花嫁
十六
観念するとテーブルから手枷の片方を取り上げると手首に嵌めてみる。ベルトのバックルのようなものが付いていて、嵌めるのは簡単だが両手を繋いでしまうと自分で外すことは出来そうもなかった。もう片方には椅子の後ろのほうへ伸びている縄が結び付けられている。そちらも手首に嵌める。そのふたつを繋ぐのは手枷にそれぞれついている金具を嵌め込むだけだ。しかし見ただけで一旦嵌めてしまえばロックが掛かってもう外せなくなるのは間違いなかった。
カチリという非情な音がして自分の両手の自由が奪われてしまう。前手錠の形でおそるおそるアイマスクを取り上げると頭に掛ける。そのまま命令された通りに両手を繋がれたまま頭の後ろに持って行く。
(何処かで私が命令どおりにするかどうか見ているのね・・・。)
もはや後戻りは出来ないのだと優香は自分に言い聞かせる。それでも優香は自分の鼓動が不安で高鳴ってくるのを抑えきれないでいた。
頭の後ろに置いた両手が突然ぐいっと引かれたことで、男が何時の間にか近くに来ていたことを知った。
「Who are you ? What's your purpose ? (誰なの、あなたは。何が目的なの。)」
しかし返事は無かった。代りにぐいっと荒々しくノースリーブのトップスが捲り上げられたのを感じる。白いブラジャーが剥き出しになった筈だった。
「ううっ・・・。」
続いて男の手が優香の顎に当てられ、少し上向かされる。捕えた獲物を試し観しているみたいだった。
「If you want money, I can manage. . . (お金だったら準備があるわ。)
途中まで言いかけたところで優香は口を掌で塞がれた。(少し黙っていろ)という意志を感じた。
(やはり私の身体が目的なんだわ・・・。)
想定はしていたが、自由を奪われて男の前に身体を差し出しているのを身を持って感じると、改めて戦慄が走る。
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