黒ミニ両手吊り

妄想小説

狙われていた新婚花嫁



 十七

 バサッという音が頭の上の方で聴こえた。すると急に両手が高く吊りあげられた。手枷に繋がれた縄で引かれているらしく、さっきの音はどこか高いところに縄の束を通したのだろうと思われた。そのままぐいぐい引かれるので、優香は椅子から立ち上がらざるを得ない。あっと言う間にベランダの端に両手で吊るされてしまったのだった。
 優香は自分の今置かれている状況を想像してみる。男の前に全くの無防備な格好で立たされているのだ。何をされても抗うことが出来ない。好き放題されても、相手を睨み返すことすら出来ないのだった。そんな優香の姿を、男は少し離れてじっと眺めているようだった。どうやって蹂躙してやろうかと考えては悦にいっているに違いなかった。
 やがて男の荒い息遣いがすぐ近くで感じられるようになった。
 (いよいよ、やられるのだ・・・。)
 優香は覚悟を決める。
 いきなり高く掲げている両腕から露わにしている脇の下の部分を両側から掴まれる。親指は乳房の上にめり込むように押し当てられている。
 「あっ・・・。」
 思わず声を挙げてしまった優香は、そのまま首筋を強く吸われて息を呑む。
 無理やり蹂躙されるおぞましさを予感していただけに、男に強く吸われる甘い感覚に思わずため息が洩れそうになる。脇の下に当てられた男の手の強い感覚に、どうすることも出来ずに身を預けるもどかしさが余計に優香を淫らな思いにからせてしまうのだった。
 (駄目っ。そんなこと、されたら・・・。)
 「Please don't . . . (お願い、やめて・・・)」
 しかしその先は言葉にならなかった。
 男の手は、腋の下からゆっくりと乳房の上へ這い上るように中心部に寄ってくる。五本の指があたかも獲物を捉えた軟体動物のように揉みしだいてくる。ふたたび優香の喉から溜息が洩れる。乳房を掴んでいた片方の手が、次第にゆっくりと優香の身体を這い降りてくる。臍の上から腰骨のあたりを掴むようにまさぐり始めると、優香は我慢出来ずに腰を振って悶え始める。
 (ああ、駄目っ。駄目よっ・・・。)
 男は腰骨の辺りを弄りながらも指の先で短いスカートの裾を手繰り寄せ始めていた。男の冷たい指先が裸の肌に触れたことで、裾がすっかり捲り上げられてしまったのを知る。次に男の手がどこへ向かうのかを、どうしても考えてしまう。その思いを振り切ろうとすればするほど、身体の中心が熱く滾り始めるのを抑えきれない。男の指先が露わになってしまっている筈の下着の縁に沿って鼠蹊部にまで侵入してくるのを、優香は待ち焦がれてしまう。
 (ああ、貴方・・・。赦してっ。私が望んだ訳じゃないのよ。私にはどうすることも出来ないの。)
 そう心の中で言い訳しながらも男の手が秘められた場所に早く到達して欲しいと望んでいる自分を誤魔化していた。それは、結婚してから二晩もお預けを喰わされた初夜の待ちぼうけのせいでもあったのかもしれない。そう思いながらも、その相手が裕也でないことへの申し訳なさは感じていない自分にも気づいていなかった。
 ピチャッ。
 卑猥な音に男の指がショーツの脇から侵入してきたのを知った優香だった。濡れてしまっているのは覚悟していた優香だったが、男の指はその事を優香に思い知らせるかのように巧みに撫で上げて陰唇の潤いで音を立てさせるのだった。
 (ああ、もう駄目っ・・・。)
 優香はもはやすっかり男に身を任せていた。そして濡れそぼった陰唇をまさぐられるだけでは我慢出来なくなっていた。
 「Oh, no . . . Please . . . please fuck me . . . Ah, penetrate me . . . (ああ、もう駄目っ。お願い、して・・・。わたしに挿してっ。」
 男が自分を吊っている手枷の縄を解いても、逃げようという気持ちは全く起きなかった。男に促されて目隠しをされたままで部屋の中へ連れ込まれてもただ男に従っていた。ベッドに押し倒され服を剥ぎ取られていくのにも腰を浮かして手を貸してしまっていた。

優香

  次へ   先頭へ




ページのトップへ戻る