ホテル送迎バス

妄想小説

狙われていた新婚花嫁



 二

 「アー、ミナサーン。オハヨ、ゴゼーマス。ワタシ、アナイニンノジミーデース。モスグ、コノバス、ホテルツキマース。チェクイン、オネガイシマスゥ。」
 田園地帯から街並みが見えてきた辺りで、送迎バスの最前列に居たホテルの案内人が立ちあがって乗客たちの方を振り返って話し始めた。
 「ちぇっ。へったくそな日本語だなあ。」
 裕也が自分の英語力のことも棚に上げて不満そうに洩らす。
 「まあ片言でも通じるだけよかったんじゃない。」
 優香は宥めるように傍らの夫に話しかけたのだった。

 「ハイ、オツカレサマデシタ。ロビーデ、カカリノモノマッテマス。チェクイン、オネゲーシマスゥ。」
 「あ、ありがとう。」
 送迎バスを降りるのに、一人ひとりに挨拶していく案内人のジミーに優香も軽く会釈する。
 「おい、おい。ちょっと、こっち。」
 バスを降りるなり、先に出ていた裕也が優香の袖を引っ張る。
 「あの案内人、気を付けろよ。バスで説明してる時、ずっとお前のスカートの裾ばかり覗いてたぜ。パンツ、見られたんじゃないか?」
 「え、そんな事・・・。」

バス席パンチラ

 そんな筈はないと答えようとしたものの、優香もはっとした。ジミーのねちっこい視線が時々自分の方に向けられていたのは感じてはいた。その日穿いてきたミニスカートは裕也のお気に入りでかなり短い。
 「そもそもミニスカートにしろって言ったのは貴方なのに。」
 優香はミニスカートからパンツを覗かせてしまったかもしれないのを裕也のせいにして詰る。
 「ミニスカートにしろとは言ったけど、パンツ見せていいとは言ってないぞ。」
 「そんな・・・。」
 裕也と付き合うようになる前は、あまりミニスカートを穿き慣れていなかった優香だっただけに、気を付けねばと思うのだった。

優香

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