妄想小説
狙われていた新婚花嫁
四
「なあ、今のコンシェルジュって人、とても感じいい人だったよなあ。」
「あら、そうかしら。話し方は上品そうだったけど、ホテルの人ってみんなあんな感じじゃないの?」
「そんな事はないさ。何か昔、知ってた人に似ている感じで親近感があったなあ。」
夫の若干にやけた顔に優香は誰を思い浮かべていたのだろうと不信感を抱く。実際、夫の裕也が思い浮かべたのは、新婚の妻には絶対に明かせない初恋の女性だったのだ。それだけで裕也は心浮きたつものを感じていたのだ。
「ねえ。荷物、片付けたらビーチに出てみない? 」
「ああ、そうだね。まずはホテル内の探検だ。」
優香は佳織が部屋の隅に持ってきてくれたキャリーバッグから幾つか服を部屋のクローゼットの方にしまうと浜に出てもいいようにサンダルに履き替えるのだった。
ロビーを抜けベランダから階段を降りると、もうそこはプライベートビーチになっていた。
「折角だから、記念に写真を撮ってくれないかな。」
裕也がベランダの前に立つので、優香はカメラを受け取ってビーチに降りる。
「ちょっと屈んで少し低い位置から撮ってくれよ。その方が脚が長く見えるから。」
「そうなの? いいわよ。」
優香が身を屈めたことで、ミニスカートからパンツが丸見えになってしまっているのだが優香は気づいていない。裕也もわざとそれを教えないのだった。
「じゃ、今度は僕が撮ってあげるよ。そこのビーチのベンチに座ってみて。」
優香が言われた位置に腰掛ける。
スカートからショーツが覗いてしまわないように膝を斜めに曲げているのだが、裕也はわざと回り込んで下着が映り込むようにしている。
「ねえ、見えちゃってない?」
「ああ、大丈夫、大丈夫。はいっ、笑って。」
裕也は新妻のパンチラ姿をしっかりカメラに収めると、気づかれないようにほくそ笑むのだった。
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