妄想小説
体操女子アシスタントの試練
七
男性指導スタッフの中の一番の若手の須藤京輔がさっそく新人のあかねに近寄っていく。
「ボク、須藤京輔と言います。よろしく。矢田さんは稲村さんと同じN体育大なんだそうですね。ボクはN大卒です。何か判らないことがあったら遠慮なく訊いてくださいね。」
「あ、こちらこそ宜しくお願いします。」
須藤が出してきた手をあかねが握り返すと、須藤はその手にさらにぐっと力を篭める。
「仲良くやりましょう。」
「お、お願いしますぅ。」
少し離れた所でその日最初に収録に入る吉村と君津がその様子を腕を組んで眺めていた。
「ふうん。京輔ったら早速新しい子に寄り添ってるわ。手が早いわね、あの男っ。」
「あの人、何時でも新人にはいい顔するのよね。」
若い指導員が早々に新人の女の子に愛想よくしているのが不満げな吉村春江に、相槌を打ったのが君津亜紀だった。
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