あかねパンチラ

妄想小説

体操女子アシスタントの試練


 四十

 現場の応接室は横長の低めのテーブルを中央に置いて、両側に椅子が並べられていて、由香里達はそこに一人ずつ座ることになる。テーブルが低いので座っても膝頭がテーブルから露わになるようになっている。その席に由香里は膝の上に手を置くことを許されずに座らねばならないのだった。由香里は両脚をぴったりくっつけるようにしてさっと座ったつもりだった。しかしそれでなくても座るとずり上がってしまうミニワンピースの裾が、その奥の下着をどれだけ隠してくれたかは心許なかった。数台あるカメラの幾つかはその由香里がミニワンピで裾の奥も隠さずに座る様を捉えているのを由香里自身も意識していた。

 吉村の采配で司会役の男性アナウンサの真正面に座らされてしまった由香里は、その男性アナウンサの目が何度も泳ぎながら自分の短いスカートの裾の奥へ注がれているのを痛いように感じていた。その目を感じながらも由香里は両手を腿の脇に置いて視線を防ぐことを許されないで居るのだった。
 「体操のアシスタントをしていると色々ご苦労されることもあると思うんですが・・・。」
 司会が話を振って来る。
 「苦労だなんて。わたしたちは一応、体操界ではプロという立場なので、体操をしていて苦労っていうようなことはあまり感じませんけど。」
 由香里は何となく話を交わしたつもりだった。
 「あら、由香里さん。ずっとカメラの視線の前に居るのも辛いわよね。」
 口を差し挟んできたのは君津亜紀だった。
 「え? そうかしら・・・。」
 「だって、この間も由香里さん言ってたじゃない。体操の演技をしてる途中でどこか痒くなっても掻けなくて辛かったって。」
 「え、そんな事っ・・・。」
 何の事を話しているのか判らない周りの連中の中で、ひとりその事に思い当たった由香里は顔を赤くして染める。
 「そ、そんな事、あったかしら。」
 惚ける由香里だったが、咄嗟の事で狼狽は隠しきれなかった。その慌てる様子を気づかれぬようにほくそ笑むのは君津亜紀と吉村春江の二人なのだった。
 「あら、由香里さんはN体育大のエースだった人だもの。少々どこかが痒かったぐらいで体操のポーズを崩したりはしないわよ。ねえ、由香里さん。」
 「え、ええ・・・。皆さんもプロですものね、吉村さん。」
 「それに由香里さんは脚も長いし、いつも注目されてるから一瞬だって変な格好出来ないですものね。」
 吉村春江は意地悪く、そう詰め寄る。その言葉に司会のアナウンサが再び短いスカートから剥き出しの太腿と、その奥に覗くデルタゾーンにちらっと視線を泳がせるのだった。それに気づいても由香里には両腿をぎゅっと閉じているだけで、裾の隙間を隠すことが出来ない。

あかね微笑

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