美香喘ぎ

妄想小説

体操女子アシスタントの試練


 三十五

「あかねさん。貴方、毎日のように東郷プロデューサからレッスン受けているんですって?」
 「あ、岡村さん。ええ、そうなんです。」
 「それ、大事な事よ。プロデューサのレッスンは誰でも受けれる訳じゃないから大切にしないと。でも色々言う人もいるから・・・。あまり気にしない事ね。」
 「え、色々言うって?」
 「やっかみとか受けやすいから。貴方、何か変な事されてない?」
 「え、変なこと・・・?」
 あかねは急に尿意を催したことや、レオタードの股間が急に痒くなったことを思い出したが、そこまで疑ってはいなかった。
 (あれは偶々の事が重なっただけよね。誰かに何かされた筈はないし・・・。)
 「あのね、貴方が来る前に居た稲村さゆりさん。憶えているでしょ?」
 「ええ、わたしの先輩ですから。」
 「彼女、やっぱり東郷プロデューサの個人レッスンを占有的に受けていたの。それがせいで、いろいろ意地悪されたみたい。」
 「え、彼女が?」
 「それが原因で辞めたとは思わないけど、悩んではいたようね。」
 「そう・・・なんですか。」
 「まあ、気を付けることね。そう言えば貴方。東郷さんからリフトの訓練は受けた?」
 「リフト・・・ですか?」
 「ええ。貴方は脚が長いからバランス取るのに有利ですものね。私なんか、そんなに脚は長くないからさんざん訓練して貰ったけど上手く出来なかった。そうだ。昔のノートがあるから貴方にあげるわ。きっと参考になる筈よ。後で持ってくるわね。」
 「え、そうですか。ありがとう・・・ございます。」
 あかねには先輩の岡村がいろいろ自分の事を親身になって心配してくれているようで頼もしく思えた。
 (美香さんの事、たよりにしてみようかしら。)
 プロデューサとの打ち合わせに行くらしい岡村美香を無言で見送ったあかねだった。

あかね微笑

  次へ   先頭へ




ページのトップへ戻る