妄想小説
体操女子アシスタントの試練
六
「あの体操用のレオタードとかのコスチュームは全員のが特注なのよ。身体に完全にフィットするように個人、個人の細かい寸法に合わせてデザイナーがきちんと縫製しているの。少しでも身体の線が綺麗に見えるようにするんですって。胸なんかも押し付けられ過ぎず、かと言って張り出し過ぎないようにって絶妙な見せ方をしてるらしいの。私も最初にあれを着た時、それまで自分が着けてきたどのブラジャーよりも綺麗に胸の線が出るんでびっくりしちゃった。」
(それであんなに細かく採寸していたんだ・・・。)
あかねは妙に納得してしまったのだった。
「みんな、ちょっと集まってくれ。」
収録が始まる前にディレクターの西村幸男が出演者たちを一同に集める。
「今日から新人が入るので皆に紹介しておく。本来ならプロデューサの東郷さんから紹介するんだが、今日は編成会議で呼ばれているので代わりに私から紹介します。矢田あかねさんです。」
西村に紹介されあかねは皆の前に立つ。
「矢田あかねと申します。稲村さゆりさんの後任として入ることになりました。皆さん、宜しくお願い致します。」
女性アシスタントのうちでちょっとざわつきが起きる。
「じゃあ、矢田さんはまだ慣れていないので一番端に入ってください。今日、最初のセンタは吉村さん。もう一人は君津さん。じゃ、スタンバイよろしくお願いします。」
次へ 先頭へ