股下長測定

妄想小説

体操女子アシスタントの試練


 五

 「あ、あの・・・。こう・・・、ですか?」
 あかねはおそるおそるミニスカートの裾を持ち上げていく。東郷が自分の目の前で腰を屈める。スカートの下から覗く下着が、目の前のプロデューサの目に丸見えになっている筈だった。
 「踵をぴったり付けて、爪先を少し開くんだ。」
 「あ、はいっ。」
 プロデューサが広げていくスチール製の巻尺の端が、白いショーツに包まれた股間の付け根に押し当てられるのをあかねは何でもない風を装いながらじっと耐えた。
 「70・・・っと、9・・・かな。79cmか。結構脚、長いんだね、君。」
 「そ、そうですか。」
 「股下率でいって、45%を超えるレベルだ。日本人としてはかなり長いほうじゃないのかな。」
 「そうでしょうか。」
 「体操では、脚の長さは重要なファクターなんだ。短足のアシスタントが脚を晒しているのは見苦しいからね。君の場合、かなり魅力的なスタイルだと言える。」
 「あ、ありがとうございます。」
 脚の長さを計り終えたようだったので、あかねはさり気なくスカートを降ろすのだった。

 「ねえ、合格だそうよ。それも、東郷プロデューサ、かなり気にいったみたいなの。さすが、稲村は目の付け所がいいなんて褒められちゃった。」
 「そうなの。よかった。やっとこれで就職浪人にならないで済むわ。先輩に相談して、本当によかった。ただ・・・・。」
 「ただ? 何かあった、プロデューサと?」
 「いえ、その・・・。特にそういう訳じゃ・・・。」
 まさか股下長を測るためにスカートを捲らされたとは言えなかった。
 「ねえ、東郷プロデューサってどんな方?」
 「どんなって・・・。逢ったとおりの人よ。美的センスにはうるさい・・・っていうか、厳しい人よね。」
 「美的センス?」
 「そう。あのプロデューサになる前は体操番組なんて誰もみなかったみたい。もうやめちゃえって、局の上層部から横槍が入って番組廃止になる筈だったの。そしたら東郷さんが私が立て直すからもう半年だけ待ってくれって名乗りを挙げたらしいの。」
 「へえ・・・。」
 「それまで体操の指導者とか演技をするアシスタントは男女混合で、ダサいトレパン姿だったの。それを東郷さんがこんなの見苦しいだけだって言って、アシスタントは女性だけ、コスチュームは大胆なハイレグのレオタードに変えさせたの。そしたら急に人気が出ちゃって、視聴率はうなぎのぼりだったらしいわ。」
 「それって・・・。」
 「東郷さんが言うには、体操は誰でも綺麗な身体づくりを目指してやってるんだ。だからこんな身体になりたいってみんなが思うような格好で演じてみせなければ駄目だっていうの。レオタードは私も最初はちょっと恥ずかしかったけれど、番組の人気が出てくるに従ってみんなが目指している身体づくりに貢献しているんだって考えたら、俄然やる気も出て来たの。」
 「そうなんだ。」
 「もう採寸もやったんでしょ?」
 「ああ、面談の後すぐ。あんなに入念にやるなんて思ってなかったから。腰回りだけで三箇所も測られちゃったわ。」
 あかねが驚いたのは通常ウェストと最くびれ部と腰骨廻りの三箇所も測られたという事よりも、ブラジャーを外させられたうえで胸周りをトップバスト、アンダーバスト、肩からの高さなど入念に測られたことだった。しかしさゆりには腰回りとだけ言っておいたのだった。

あかね微笑

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