妄想小説
体操女子アシスタントの試練
十一
「じゃ、前にもやって貰ったけど、Y字バランスで立ってみて・・・。そう。そのままI字バランスに移行してっ。・・・。ふむ。いいね。今度は脚を下して上体を後ろに反らして。・・・。ううむ、もっと。」
「このくらい・・・ですか?」
「ううん。そうだね・・・。君は股関節はかなり柔らかいみたいだが、背骨の柔軟性がそれに比べてちょっと劣るかな。ちょっと待ってて。」
東郷はあかねの前にやって来て、あかねと正対する。東郷の両手があかねの腰骨付近を捉える。
「支えてるから、もう一度上体を後ろに反らせてみて。」
「はいっ。こうでしょうか。」
いきなり男性に腰を触られて、ちょっと驚いたあかねだったが、大学でのコーチによる体育指導を思い出すことにした。
「ふうむ。まだ硬いな。じゃこうしたらもう少し後ろまで反れるかな。」
東郷の腰骨付近に当てられていた両手が少し下がって、尻たぶのすぐ下辺りを掴み直す。
「は、はいっ。」
腰の動きがより自由になり、更に深く身体を倒す。しかしそれと同時にあかねは東郷の股間がそれによって自分の恥骨付近に押し当てられているのを感じた。しかもその東郷のその部分は明らかに硬くなっている。
(あ、どうしよう・・・。)
お互いが下半身に纏っているもののせいで、直接肌が触れている訳ではないのに、あかねは男性の硬くなった肉体を感じてしまうのだった。
「もっと反らせてっ。」
東郷に言われるままに身体を反り倒そうとすればするほど、肉塊があかねの恥部に食い込んでくるようだった。
(駄目っ、変なこと考えちゃ・・・。これは体育指導なんだから。)
そう無理やり思おうとするあかねだったが、頭の中には男性の屹立したモノが浮かんでくるのだった。
「はい、いいよ。身体を起してっ。」
東郷が一歩後ろに下がったので、あかねは身体を元に戻す。見てはいけないと思いながら、東郷の下腹部をちらっと見てしまう。東郷はあかねが部屋に入ってきた時から伸縮性のあるジャージの上下を着こんでいたが、その股間は特に膨らんでいるようには見えなかった。
(気のせいだったのかしら・・・。)
あかねは東郷の下半身から窓の外の方へ視線を動かして表情を読み取られないようにする。しかしレオタードに包まれた胸の奥では心臓がドクドクと早打ちをしているのを感じていた。
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