スパッツ股下

妄想小説

体操女子アシスタントの試練


 十三

 「はい、矢田さん。今日のコスチューム。今日はショートバージョンの方の撮影なのでこちらの衣装になります。あ、それから昨日のレオタードの方はあの籠に出しておいて。タグに名前を書いておくのを忘れないように。局の方で毎回洗濯に出してあちらの棚にメンバー毎にしまっておきますので、次回からはあちらから出して使ってください。」
 「あ、判りました。えーっと、これは・・・。レオタードじゃないんですね。」
 「ああ、そう。タンクトップと一体になったスパッツだけど、こちらのTシャツとセットで羽織るようになっているので。あ、こっちは脱ぎにくいのでトイレは先に行っておいてください。」
 「はい、わかりました。」
 あかねは受け取った衣装を確かめてみる。スパッツの方はタンクトップ部分と一体で肩まである。Tシャツの方を羽織ってしまうと、トイレでは一旦Tシャツを脱がないとスパッツを降ろせないのだと分かる。

 「レオタードとはどう使い分けるのですか?」
 「ああ、それはこちらが毎回指示するから。元々は身障者向けに座ってやる演技の時用に作ったものだったんだけれど、今いろいろうるさくてね。」
 「うるさい・・・?」
 「あ、いや。身障者はレオタードではないのは差別になるのではとか、いろいろうるさく言う視聴者も居てね。同じレオタードで座って演技するのはちょっと変だし、だからと言って全部このタイプに統一すると、それはそれでクレームもついたりするのでね。その辺をぼかしながら今はさり気なく使い分けているってことなんだよ。あ、そんなのは君たちが心配することじゃないから。その日の指示に従って決められたのを纏ってくれればいいから。」
 「そうなんですか・・・。わかりました・・・けど。」
 「じゃ着替えたらスタンバイに行ってね。今日一緒にやるのは、原西さんと立川さんだから。」
 「はい、今行きます。」
 あかねはコスチュームを抱えると更衣室へ向かう前に先にトイレに行っておくのだった。

 スパッツ式のコスチュームに着替えてみて、上からTシャツを羽織るというので胸の膨らみが強調されてくていいかと思っていたのだが、実際重ね着してみるとどちらも身体にぴったりフィットしているので却って胸の膨らみが強調されてしまうような気がする。
 (これ、ちょっとサイズが小さめなのじゃないかしら。)
 胸の辺りを気にしながらスタジオに入ってみると、先に入っていた立川をみて、あかねはやっぱり自分のコスチュームはきつすぎるのだと確信する。立川の方はTシャツにゆとりがあるようで、胸の線があまりはっきり出ていない。
 「あ、矢田さん。こっち、こっち。もう始まるわよ。」
 その立川に声を掛けられてあかねは小走りにカメラの前へ急ぐ。
 「はあい。じゃ、原西さんは今日は椅子で、立川さんはセンター。矢田さんは右端にお願いします。じゃ、カメリハから行きます。ようい。」

あかね微笑

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