レオタードお洩らし

妄想小説

体操女子アシスタントの試練


 三十四

 目が覚めたあかねは、おしっこを洩らしてしまったので着替えなくてはと慌てて起き上がろうとして、着ているレオタードが濡れていないことに気づく。しかも上に毛布を掛けていて、寝ているのは控え室のソファなのだった。
 (あれっ。洩らしてしまったのではなかったの・・・?)
 毛布の下から出て来た自分が着ているレオタードはしかし、思っていたのとは違う柄の物だった。上から掛けていた毛布は何処かで見た覚えがあると思ったが、何度か剃毛をする為に行ったシャワー室の隣の当直用の部屋のものだった。
 (自分で持ってきて掛けたのだったかしら・・・?)
 何故こうなっているのか思い出せないのだが、あかねは朝までアシスタントの控え室にあるソファで当直室から持ってきた毛布にくるまって寝ていたのだった。昨夜まで着ていた筈のレオタードは次の日に着る予定だった違う柄のものに替わっている。
 (おしっこを洩らして濡れたので、自分で着替えたのだったかしら・・・?)
 何故着替えているのかも思い出せなかった。控え室の様子を見渡すと、部屋の隅に何となく記憶のあるぶらさがり健康器風の懸垂台が置いてあるが、その近くには何も置かれていない。あかねのぼんやりとした記憶では三脚とかロープとかがあったような気がするのだが、そんな物は何処にも見当たらないのだった。
 (何か変な夢を見たのかしら・・・。)
 それでも昨日着ていたのは白っぽいレオタードだった筈と思い、廊下に出て洗濯物を出す籠を覗いてみるが、既に運び出されているらしく、バスケット状の籠の中は空っぽなのだった。
 壁の時計を見ると、朝の6時を過ぎたところだった。すっかり夜は明けている。その日の収録は午後からだったので、誰かが出社してきて見つかってしまう前にと、急いでレオタードを私服に着替えて取りあえず家に帰ることにしたあかねだった。

 家に帰ったあかねは、何度も何度も夢にみたらしい光景を思い返してみる。中腰になって立上ることも、しゃがむことも出来ない格好に固定され、両手は後ろ手に縛られていた。尿意がどんどん募ってきて、遂に我慢が出来なくなってレオタードのままお洩らしをしてしまったのだ。ずぶ濡れになったレオタードの股間が気持ち悪くてその感触ははっきり憶えている。しかし、その後どうなったのかがどうしても思い出せないのだ。
 そもそもそんな格好で固定されるようになった経緯も思い出せない。何時ものように東郷のレッスン室でレッスンを受けて、アシスタントの控え室へ戻った筈だ。しかしそこから先がはっきりしない。着替えたのかどうかも憶えていないのだ。
 考えても考えても思い出せないあかねは、次第に自分の都合のいいように考えるようになる。
 (きっとレッスンで疲れてしまって、ちょっとだけ転寝しようと当直室から毛布を持ってきてソファに横になったのに違いない。すぐ起きるつもりだったのが朝まで寝過ごしてしまったのだ。そうだ。きっとそうに違いない。)
 それ以降はもうその夜の事は考えないことにしたのだった。

あかね微笑

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