喘ぎ

妄想小説

体操女子アシスタントの試練


 十二

 床の上で大きく広げた両手は、手首の部分で東郷にがっしりと抑えつけられていた。その為、自分では起き上がることが出来ない。そのあかねの身体に蔽い被さるように東郷が跨っているのだった。
 「と、東郷さん。わたし・・・。」
 身動き出来ない身体を捩るようにしてみるが、身体はびくともしない。股の間に何か硬いものがあるのをあかねは敏感に感じとっていた。それが何であるのかは薄々気づいている。東郷が腰をゆっくり上下に動かすと、そのモノはあかねの肉襞を擦って行く。
 (あっ。わたし、何も穿いていないんだわ。)
 裸と裸の肉が触れあっている、そう確かにあかねは感じとっていた。再び東郷が腰を持ち上げる。すると硬いモノの先があかねの陰唇の上側を突くようにする。
 (あっ、駄目っ。突いてはいけないわ。それが入ってきてしまう。どうしよう・・・。)
 「膝を曲げるんだよ。脚を持ち上げて大きく開くんだ。」
 東郷があかねの耳元で囁く。
 (駄目よ。そんな事したら、入っちゃう・・・。)
 しかしあかねの肢体は魔法にかかったかのように東郷の言うがままに勝手に動いてしまう。硬いモノの先がなぞるようにクリトリスの上を滑っていく。そしてそれはその下の割れ目を確実に捉えていた。
 (あ、だめっ・・・。)
 ズブッと音がしたような気がした。するりと入ってきたのはあかねがもうその部分を潤わせているからに違いなかった。
 (ああ、大きい・・・。硬いっ。)
 東郷の屹立したモノが既にすっぽりとあかねの体内に入り込んでいた。
 (ああ、突いてっ。もう駄目。思い切り突いて・・・。)
 あかねは観念して東郷に身を委ねることにする。
 (ああ、突いてっ。どうしてもっと激しく突いてくれないの・・・。)
 東郷の屹立したモノは確かにあかねの体内に埋め込まれているのに、じっとして動かない。
 (ああ、もう我慢出来ないっ。)
 あかねは自分から腰を振ろうとする。しかしあかねの身体は金縛りにあったように自分では動かす事が出来ないのだ。
 (ああ、もどかしい。ああ、お願い。強く突いてぇ・・・。)

 思わず声が出そうになって、はっと口を押さえる。何時の間にか手が自由に動くことに気づいた。
 (あれっ・・・。)
 抑えられていた筈の手首が自由になっていた。目の前から東郷の姿が消えている。
 (え、夢・・・?)
 あかねは自由になった手を自分の下半身の方へおろしてゆく。裸の下腹に指が触れ、何も穿いていないのに気づく。いや、穿いているのだが、膝の上まで下しているのだ。身体の中心に当てた指の先がしっぽりと濡れるのが判る。
 (嫌だわ。淫らな夢を見ていたのだわ。)
 あかねの指は夢の余韻を惜しむかのように濡れた陰唇をまさぐるのだった。

 最初の収録の日に撮影終了後、プロデューサの東郷に呼び出されて個別レッスンを受け、どの位の時間そこにいたのかあかね自身はっきり憶えていなかった。地下のスタジオの隣にある更衣室兼控え室に戻った時には他の出演者達やディレクターの西村などの姿はすっかり消えていた。東郷の部屋から戻ってくるのに再び吉村から借りたパーカーを羽織らねばならなかったが、帰りのエレベータでは不思議な位、局の男性社員には出遭わずに済んだのだった。更衣室で自分のワンピースに着替えてから、思い返して吉村に借りたパーカーは、やはり持ち帰って洗濯して返すことに決めたのだった。
 マンションの自宅に帰っても、まだ興奮が醒めていないようだったが、それは初めての撮影の緊張のせいだと思っていた。しかしベッドに横たわって何時の間にか寝てしまったあかねが見た夢はその興奮が撮影の緊張によるものだけでは無かったことを思い知るのだった。何時の間にか膝まで下していたショーツの裏側に薄っすら付いていた沁みが何時出来たのか、あかねは考えないようにして吉村から借りたパーカーと一緒に洗濯機に突っ込んだのだった。

あかね微笑

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