留守番 完結編



両手両足吊り

 二十八

 男は美鈴を縛った背中の両手両足首それぞれに縄を掛けて部屋の天井近くの梁に通して美鈴を腹這いのまま吊り上げてしまう。最早美鈴には手足をばたばたさせて床を叩いて音を立てることすら封じられてしまったのだった。
 「部屋の鍵は掛けておくから、ここで暫く大人しくしてるんだぜ。」
 そう言い捨てるようにして扉を施錠すると、美鈴には階下に降りていく男の足音しか聞こえないのだった。

 ピン・ポーン。
 外の門扉のドアホンが鳴る音がする。男がそっと玄関ホールの窓から門の方を窺うと、門の外に制服姿の女学生が立っているのが遠目に見て取れる。
 「恵子で~すぅ。」
 「あ、恵子様ですね。只今門の錠を外しますので、そのまま中にお入りください。」
 誰も居ない筈と思っていたインターホンから男の声がしたので、(あれっ)と思いながらも自分の名が呼ばれたので安心して門の中へと足を踏みいれた恵子だった。

 「どうぞ。お入りください、恵子様。」
 恵子が屋敷のピロティの扉の前に立つや、ガチャリと音がして中から扉が開かれた。
 「ああ、どうも。美鈴ひとりかと思ってたので・・・。」
 「私はこの家の執事でございます。お嬢さまからお迎えするようにと申し付かっております。」
 「あ、そうなの。一人ぼっちだったのは昨夜だけだったのね。」
 「さ、どうぞ。こちらへ。」
 執事と名乗った男は恵子を玄関ホールから奥の客間へと恵子を案内する。

 留守番 完結編 第一部終了  引き続き第二部をお愉しみください。

美鈴

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