留守番 完結編 第二部



薫縄吊り

 四十六

 「さあて、まず鞭打ちから始めようか。そこに吊ってやるから覚悟するんだな。」
 嫌がる薫の二の腕を掴むと、天井から降りてきている鎖や縄に薫の身体を繋いでいくのだった。

 そんな頃、屋根裏部屋に閉じ込められた美鈴と恵子は身を寄せ合っていた。
 「ごめんね、恵子。こんな事に巻き込んでしまって。私の携帯を奪われてなりすましメールを打たれてしまったの。」
 「いいのよ、美鈴。あなたが悪い訳じゃないわ。」
 「ねえ。もう、あそこ。痒くない? 大丈夫?」
 「ええ、さっきまでバイブを入れられていて、大分治ってきたわ。まだ少しむずむずするけど。それより、これからどうしよう。このままでいたら、先生も私たちもまだまだ酷い目に遭わされそうよ。」
 「それなんだけど・・・。もしかしたら脱出出来るかもしれないわ、この部屋から。」
 「え、どうやって? そんな事、出来るの?」
 「ええ、昔、子供の頃、叱られてこの部屋に閉じ込められたことがあるんだけど、確か秘密の抜道がある筈なの。」
 「えっ、秘密の抜道ですって?」
 「ええ。この屋敷はパパが昔の華族みたいな人から買い取ったものらしいのだけれど、あまり知られていない仕掛けがいろいろあるみたいなの。秘密の抜道もその一つよ。」
 「え、何処にあるの。その抜道っていうの・・・。」
 「うん。今思い出すから。その前にまずこの縄と手錠を何とかしなくっちゃ。」
 「ねえ、美鈴。私の背中に廻って縄の結び目、歯で何とかならないかしら。」
 「やってみるわ。むこうを向いてみて。」
 美鈴は恵子を縛っている縄を背中側に廻って歯で緩めようともがき始めたのだった。

美鈴

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