留守番 完結編



全裸エプロン

 十

 「こ、これっ・・・。」
 美鈴が拾い上げると、台所の隅に掛けてあった筈の召使がいつも使っているエプロンなのだった。
 「これ・・・だけですか?」
 「これからお前には俺に飯を作って貰うつもりなんでな。必要だろ?」
 エプロンというよりも前掛けに近いそれは剥き出しの乳房と股間はかろうじて蔽ってくれるものの、股下ぎりぎりまでしかなく、前は隠せてもお尻は丸出しなのだ。何も無しで男に対峙するよりはよっぽどましだったが、全裸エプロンというのはさすがに屈辱的だった。美鈴は唇を噛みしめて惨めさを堪えながら、そのたよりない一枚で何とか身体の前を蔽うのだった。

 キッチンに案内するように男に命じられてエプロンの後ろで丸見えになっているお尻を両手で隠しながら、美鈴は先に立って男をキッチンの方へ案内する。
 「あの・・・。私、料理なんかしたこと、ないんです。キヨが作り置きしておいてくれたものをレンジで温めるぐらいしか出来ませんが、それでよろしいでしょうか?」
 「さすがお嬢さまだな。料理もしたことがないのか。ま、召使が作った作り置きがあるんなら、それでもいいだろう。さっさと用意しな。」
 男はキッチンテーブルの席に着くと、エプロンしかしていない美鈴が冷蔵庫から作り置きの料理を幾つか取り出して電子レンジに入れるのを待っている。
 「ど、どうぞ・・・。」
 美鈴がキヨが用意しておいてくれたオムレツにポテトサラダを添えた皿をおずおずと男の前に差し出す。
 「ほう? なかなか旨そうじゃねえか。そうだ。そこにしゃがむんだ。俺が食ってる間、おとなしくしてて貰わなくちゃならねえからな。」
 そう言うと、何時の間に用意したのか、鎖のようなものをジャラジャラ音をさせながらテーブルの下から取り出す。男が顎を上に動かして、男の前にしゃがみこんだ美鈴に顔を上げるように命じる。美鈴が顔を上げていると、男は鎖の片方の端に付いている革のベルトのようなものを美鈴の首に巻きつける。カチッというロック音がして首輪が美鈴の首に装着されてしまう。男は首輪についた鎖の反対側の金属製の手枷のようなものを冷蔵庫の取っ手に取り付けてしまう。

美鈴

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