留守番 完結編 第二部



恵子起され

 三十四

 「おい、何時まで寝てるんだ。とっとと起きな。」
 男は俯せになっている恵子の髪を乱暴に掴むと、首を揺り動かして恵子を起す。
 「むむむ・・・。うーん。あれっ?」
 目を覚ました恵子が状況を掴めずに辺りを見回して、自分の身に起こった事態に気づいてはっとなる。起き上がろうとして両手の自由が奪われたままなのに気づいて肩を突いて何とか身を起そうとすると、首のあたりでジャラッと何か音がする。そこで初めて縛られているだけではなく、首に何かを巻かれて鎖で繋がれているのに気づいたのだった。
 「何、これっ? あなたなの、こんな事したの・・・。」
 「お前が逢いたがってた親友の所へ連れていってやるから立つんだよ。」
 男は乱暴に恵子の頭を両手で抑えると無理やり立上らせる。
 「何処へ連れて行こうっていうの?」
 「いいから黙って歩くんだ。」
 男は今度は首輪に繋いだ鎖を引っ張るようにして、恵子を美鈴を監禁している屋根裏部屋へと牽いていくのだった。
 「あ、美鈴じゃないの。大丈夫なの?」
 二階にある八角形のアトリウムから更に螺旋階段を上がった小部屋の扉を男が鍵を使って開けると、中に両手両足を縛られたまま天井から吊るされた美鈴の姿をみつけたのだった。
 男はドアの取っ手に恵子の鎖の端を繋ぐと、美鈴を吊っている縄を少し緩めて仰向けに向き直らせる。
 口に猿轡の手拭を咬まされた美鈴は、縛られて連れて来られた恵子の姿を見つけて目を丸くする。逆に恵子の方は、美鈴が足を高々と天井から吊りあげられているために、スカートがすっかり捲れ上ってしまっているあられもない姿で居るのをを見て、飛びつこうとするが首輪の鎖に阻まれて身動き出来ない。
 「うう、うう・・・。」
 美鈴が何か訴えようとしているのだが、口に咬まされた猿轡のせいで、言葉にならない。
 「美鈴っ、何? 何を言おうとしているの? 」
 恵子も必死に美鈴が言おうとしているのを読み取ろうとするがそれも叶わない。その時、捲れ上ったスカートから丸見えになっている美鈴の下半身はショーツを穿いておらず、代わりに何やら黒光りするものが股間に埋め込まれていることに恵子は気づいたのだった。

美鈴

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