留守番 完結編



母の寝室

 十四

 「さて、今度はお前の親爺とお袋の寝室へ案内して貰おうか。」
 たった今、自分の目の前でショーツもブラジャーも二度と使えないように切り裂かれてしまい、下着を一切許されないまま頼りなげな短いスコートとノーブラに薄手のテニスウェアしか身に着けない姿で両親の寝室への案内を命じられた美鈴だった。
 「どうして両親の寝室なんかへ・・・。」
 「いいから言う通りにするんだな。」
 男は美鈴の首輪に繋がっている鎖をベッドの桟から外す前に、尻ポケットから取り出した手錠を、背中に回させた両手首に掛けてしまう。美鈴は後ろ手に自由を奪われた格好で首輪の鎖で男を牽いていくかたちで両親の寝室へと向かわされたのだった。

 「ほう、これがお前の親たちの夜の営みの場って訳だ。」
 「夜の営みって・・・。変なこと、言わないでっ。」
 「変なことじゃないさ。やる事はやってるから、お前みたいな娘が生まれたって訳だろ。こんなお屋敷のセレブな男女がどんな営みをしてるのか興味があってね。お前、その現場を覗いたことは無いのか?」
 「何を言ってるの。そんな事、する訳ないでしょ。あ、何をしてるの。勝手に触らないでっ。」
 「うるさい。またここに繋いでおいてやるから大人しく観てるんだな。」
 男はそういうと、美鈴の首輪に付いた鎖の端を再びベッドポストの枠に繋ぎ留めてしまう。男はベッドサイドにあるチェストの抽斗を探り始める。
 「おやっ? 鍵が掛かってるな、この抽斗っ・・・。っていうことは何か隠してるって事だな。」
 男はそう言いながら、ベッドの辺りを探りまわっている。やがてベッドマットの下に手を突っ込むと目当てのものを探り当てたらしく、ニヤリとしながら美鈴に手にしたものを翳して見せる。金色に輝く小さな鍵だった。
 「何なの、その鍵・・・?」
 「マットレスの下に隠してあるからには、おそらくここの鍵の筈さ。」
 男はそう言うと、さっき開かなかったチェストの抽斗についている鍵穴にそれを突っ込む。カチャリという音と共に、抽斗はすんなり開く。男が中から取り出したのはアタッシュケースだった。それを美鈴の前に持ってきて広げてみせる。

美鈴

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