留守番 完結編
十三
「ほう、これか? 随分洒落た下着入れを使っているんだな。ふ~ん。これか、お前の下着は。」
男の反応は美鈴が懼れた通りだった。見知らぬ男に触られるのも恥ずかしい自分の下着が無造作につまみあげられ、男の眼に晒されていくのだった。
「あの・・・、どれでもいいですから。」
そう言って、早く下着をしまっている抽斗を閉めてそのうちのどれかを手渡して欲しい美鈴だった。しかし男の次なる行動は美鈴の期待を大きく裏切るものだった。
「おい、鋏は持ってないか?」
「えっ?」
美鈴が答えるより先に、男は自分が所望しているものを幾つか開けた抽斗の中に見つけていた。
「ああ、ここにあるじゃないか。ちょうどいい。」
そう言うなり、美鈴の下着入れにしている抽斗から抓みあげたショーツのうちのひとつをクロッチの部分に鋏を当てたのだった。
チョキーン。
鋭い音がして、美鈴のショーツはクロッチの部分を男が手にした鋏で切り裂かれてしまった。
「ああ、やめてっ。何てことを・・・。」
しかし男の手はそれだけでは止まらなかった。次々と美鈴のショーツを抓みあげてはクロッチの部分を手にした裁縫鋏で切り裂いていくのだった。あっと言う間に美鈴の抽斗の中のショーツはひとつ残らず使い物にならないようにされてしまったのだった。
「そうだ。ブラジャーも、もうお前には必要ないものだったな。」
そう男は言うと、抽斗の奥から今度はブラジャーの束を引っ張り出す。
「や、やめてっ・・・。」
美鈴の願いも虚しく、美鈴のブラジャーまでもが一枚、一枚使い物にならないように胸元の中心部分で切り取られていくのだった。
「心配するな。一枚だけは残しておいてやる。さっきまでお前が穿いていたショーツはまだ大広間の床に残してあるからな。あの沁みがついた一枚はお前の為に取っておいてやるよ。」
男の非情な言葉に、美鈴は我を失いそうになるのだった。
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